姐

カリブは最高!の姐のレビュー・感想・評価

カリブは最高!(1997年製作の映画)
4.3
俳優たちがそれぞれのキャリアの中で築き上げてきたイメージをそのまま投影したような役ばかりで、コンセプトとして、往年のスター俳優を再びスクリーンに登場させんとした映画なんだと思う。

私はドナルド・オコナー目当てで観ていて、やっぱり世間的にはどうしても「雨に唄えば」のコズモのような、"スゴいやつの隣にいつもいる友人役"というイメージが強いんだろうな〜というところに若干の不満と寂しさを覚えつつも、ストーリーの流れを若干歪めてでも挟んでくれた、完全にオコナーのためだけのタップダンスシーンがあったことには感激した。演出、分かってるね…!ありがとう……!!
自分のセリフがなく誰かのセリフの聞く演技の時の、微かに首を縦に振りながら喋っている人の方を向く、オコナーの10代からの癖が72歳でも健在だったことを知って微笑ましかった。おじいちゃんらしく歳をとって丸くなった身体がかわいくて、でもタップはしっかり現役でかっこよくて、観ているわたしは感情をどう振ればいいのか分からないことが嬉しくなってた。

船のセットはアステア&ロジャースの「コンチネンタル」や「トップ・ハット」に登場するセットに少し似ている部分があって、この作品が下敷きのひとつにあるのかなと思った。そう考えると、ダンスの1曲目がアステアも歌った「Cheek To Cheek」だったことにも少なからず意図があるように思える。
こういう細かいところも、往年の作品へのオマージュが感じられて良かったな〜。
姐