爆裂BOX

ボイスメールの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ボイスメール(2009年製作の映画)
3.4
講義を終え帰宅したシナリオライターの講師ジョール。何時ものように留守電を再生すると、そこには恐怖に怯える見知らぬ男の叫び声が録音されていた…というストーリー。
マシュー・リラード主演のサスペンススリラー。脚本を務めるラリー・コーエンの「フォーン・ブース」「セルラー」に続くテレフォンスリラー三部作の完結編と銘打たれていますが…
ジョールに電話を取る様に懇願する録音を、友人のイタズラと思い消去する。その後向かった元カノクレアが務めるカフェの前で手足を縛られた男が目の目に落下、即死する。その男が留守電にメッセージを吹き込んだ人物であり、その後もジョールの留守電に次々メッセージが吹き込まれ、見知らぬ人が死んでいく。ジョールは警察に第一容疑者とされ、手掛かりがつかめないままクレアにも危険が迫る、という内容です。
主人公の留守電に見知らぬ人からの助けを求めるメッセージが吹き込まれ、実際にその人物は殺されていく、という設定が面白いですね。主人公が中心なのは間違いないけど、被害者が見知らぬ人達で共通点や糸口が掴めず、犯人からのアプローチを待つしかないというのも絶望的です。やがて主人公が過去に書いたシナリオをもとに殺人が行われていることに気付きますが、一応、脚本読み返したりするんだけど、何故かそこから犯人の次の行動とか結末予測したりしないんですよね。でまた、この主人公が自分の上に落ちてきた被害者の身体に刺さったナイフ引き抜いたり、警察から逃げ回ったりして自分が犯人だと思わせるような行動自分からとったりするのでどんどん追い込まれていきます。
「フォーン・ブース」や「セルラー」と違って今作では事件は連続してるけど、日をまたいで日常パートや推理パートが入って緊張感が持続しないのは痛い所ですね。前二作は一日の出来事で緊張感持続してたし。後、被害者になるのが見知らぬ他人で、主人公に電話で助けを求めさせるけど、主人公自身に直接危機が迫る感じが無く、主人公も犯人から電話かかってくるまで動くことがない連絡待ち状態になっているのも緊張感感じさせなくなる要因になってますね。「フォーン・ブース」みたいに電話ボックスの中で命狙われて周りからは犯人だと思われてるような状況や、「セルラー」みたいに次から次にアクシデントが降りかかるようなこともないので、そこら辺が今作がDVDスルーになった所以かなと思います。後半では有力容疑者として指名手配されるけど、警察にそこまで追いつめられてる感が無いのも痛いな。
主人公がシナリオライターの講師してるので、警察署で尋問された帰りに「壁には指名手配のポスター。連行された売春婦、ドーナツ食ってるデブの警官もいるか?映画じゃよくあるシーンだ、月並みな警察署だ、独創的になれよ!」という台詞や、「映画じゃ恋人が中盤で殺されるのはよくある」等メタ的な発言が多いのは面白いですね。主人公の講義内容も中々勉強になります。
マシュー・リラードが主演というのも結構珍しいですよね。そんなイケメンて訳でもないのに、女優の卵でウェイトレスの美人な元カノは主人公に未練タラタラだし、ちょっと変わってるけど美人で主人公に積極的にかかわってくる教え子などやけにモテる(笑)主人公のチャラい友人でマイケル・エクランドや、事件を捜査して主人公追う女刑事でデボラ・カーラ・アンガーが出演してます。
クライマックスで明かされる犯人の正体は最初から怪しいと思ってて予想通りでした。主要登場人物少ないし、もう一人はあからさまにミスリード要員だったしなぁ。動機聞くと明らか主人公が悪いですね。無意識的に盗作して、元の脚本や盗作した事や、それで書いた脚本の事も忘れてるとかこいつちょっと忘れっぽすぎないか。しかも犯人の事もまるで覚えてないし。まあイメチェンしてたからわからなかったのかもしれないけど。この犯人もサイコだし、全く関係ないのに標的にされた被害者達がひたすら可哀想ですね。
犯人との対決でもメタ的な会話繰り広げられる所はちょっと「スクリーム」に通ずるところがありますね。
ラストのオチは結局全部妄想だったのか、それともこの経験活かしてただでは終わらなかったという事か。いずれにせよ主人公最後までクズだったな。
前二作と比べるとやはり格段に落ちますが、それでもサスペンススリラーとしては適度に楽しめる作品だと思います。