爆裂BOX

ブラックファイアの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ブラックファイア(2003年製作の映画)
3.4
メキシコの郊外で一台のトラックが横転。そのトラックにはとある組織が発見した驚異の殺人蜂が巣ごと積まれており、駆けつけて荷物を確認しようとした警官に襲い掛かる…というストーリー。
「キラービー」や「スウォーム」の様な殺人蜂が人間に襲い掛かる昆虫パニックです。
昆虫学者のフランクは、現場で発見された警官の死体と残された巣から殺人蜂の存在を知り、町の人々が危険に晒されていると警告するが、町では「死者の日」を祝う年に一度の祭りが開催されようと町長を中心として準備が進められており、警告は無視されてしまう、という内容です。
本作に登場するスズメバチはグアテマラの奥地の遺跡に生息し、原住民から悪魔と呼ばれ恐れられている存在ですが、人間の身体に卵を産み付けて爆発的に繁殖するという設定を持っており、蜂に襲われて死んだ最初の犠牲者の腹を検視官が開くと夥しい数の蜂が飛び出してきたりしますが、この設定活かしたのそのシーンくらいで後は刺されても普通に倒れるくらいなのは勿体なかったですね。蜂のCGもショボくて、群れで移動するシーンも「キラー・バグズ」と同じく黒い点の集合体にしか見えないですね。
ストーリー展開はこの手のパニック作品の定番の展開で、主人公が危機を訴えても祭りを控えていて全く話を聞こうとしない町長という「ジョーズ」以来続くテンプレ展開もなぞっています。勿論、祭り当日に蜂の大群が襲撃してきてパニックになります。老若男女関係なく襲われて、町中の通りにバタバタ人が転がる死屍累々のパニックぶりは悪くなかったですね。
飄々としたところありつつ正義感もあるヒーロータイプの主人公に、麻薬密輸について取材する美人女記者のヒロインとその助手のやり取りも面白かったですし、主人公と途中までバディ組む署長のキャラも良かったですね。特に最初の方で登場するUFOおじさんは、赤いジャンプスーツ着て頭にアルミホイルのヘッドギアして、ペットのイグアナの剥製もアルミホイルで包んでトレーラーハウスに住んでいるというコッテコテの変人キャラで一番キャラ立ってたんじゃないかな。序盤で退場したのが残念過ぎる。この事態を引き起こして、対策チームと偽って町に乗り込んでくる悪役の博士も憎たらしくていい味出してたと思います。この悪役達部下は軍人みたいだけど、一般人の主人公にアッサリやられてたな。
最後の蜂の退治方法は爆発オチじゃなく、自然界の食物連鎖のルールにのっとって、人間の手の及ばない事柄が惨事を終息させるという捻ったものになっていて良かったですね。序盤で伏線も貼ってますし。
ラストも実は生き残りがいて…ではなくて、元々生息していた所に又邪悪な思惑を持った人間達が訪れて惨劇が再び起こるかもしれないと予感させるものなのもよかったです。
退治方法以外はパニック物の定番の展開で、際立った個性は余り感じられませんが、話のテンポは悪くないですしB級ホラーとしては及第点と言える出来で、この手の生物パニック好きな人なら楽しめるのではないでしょうか。