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『手を挙げろ!』に投稿された感想・評価

菩薩

菩薩の感想・評価

4.0
85年の改訂版を鑑賞。この映画が元で国外での活動を余儀無くされたスコリモフスキが、当時の検閲官に対し恨み辛みをひたすら言い連ねるかなりパンキッシュなプロローグが約25分付随しているため、本編自体は1時間にも満たない作品だが、どうやら本人曰くこれが自らの最高傑作らしい。かつては理想主義・非順応主義に燃えた青春時代を共に過ごした仲間も、今ではその鍵束の数だけ、物欲と名誉欲に染まり肥大化したつまらぬ大人と成り果てた、そんな姿が埃と石膏、そしてロウソクの炎が照らす貨物列車の車内で浮き彫りにされていく。今は家畜を運ぶその車両は、かつてはユダヤ人をアウシュビッツへと運んだものであり、彼らの父親・母親はそんな世代に当たる。ポーランドにおける闘争の形は今や「連帯」へと引き継がれていったが、青春時代を通過した彼らには最早何かと戦うなどと言う信念も体力も残されてはいない。だが当然この作品は69年、連帯以前の作品である、それでもガチガチに固められたしがらみを脱ぎ捨て手を挙げろ!と、降伏では無く闘争の為の拳を挙げるのだとこの作品は我々に訴えかけてくる。劇中の「四つ目のスターリンの肖像」が元で上映禁止になったらしいが、うんまぁ確かにねぇ…って感じ。メタファー、メタファーの連続で分かりにくい作品だが、強烈なインパクトは残る。
所有物が増えるたび鍵が増える
結婚、車、別荘、愛人、
もしも鍵をぜんぶ無くしたら
捨て犬のように惨めになるかそれとも
自由の歓喜が訪れるだろうか

君を君の車の名前で呼ぶことにしよう
体を石膏で塗り固めたり
拳銃に撃たれて倒れるのもいい
今ここに存在するという証に

スターリンには目がいくつあるか、
ぎゅうぎゅうにつめこんだ列車内には目がいくつあるか、
毒を浴びて醜く崩れゆく肉体を見たことがあるか?

両手を挙げろ!踊れ!
大切なことは小さな声で語られる、そして
悪ふざけは水に流される


✳︎ ✳︎ ✳︎


雷に打たれたようだった。

本作は1967年に制作されたが検閲により14年間封印され、1981年に25分間のイントロ部分を加えて公開された。

【イントロ部分(プロローグ)】
ポーランドのシュルレアリスム画家・ベクシンスキーを彷彿とさせるディストピア、若き日のスコリモフスキ、ワルシャワ蜂起の真似事、ベイルートの戦士たち等様々な映像のかけらが印象的な効果音や音楽とともに滑らかに紡がれる。81年当時の彼の心象風景なのか。
14年経てなお続く彼の怒りが鮮烈に伝わる。

【本編】
コメダの音楽と破壊的・享楽的な馬鹿騒ぎの映像が溶け合ってゾクゾクするほど刺激的で美しい。シンメトリーに倒れこむなど計算され尽くした構図。白く汚れた顔が並びそれが石膏像の羅列にもみえる異様なカット。貨物列車内の閉塞感。
監督29歳の時の作品。彼のみずみずしく繊細な内面が高い美意識をもって表現されている。プロローグから入ることでこの鋭い感性がより際立ってみえると思う。スコリモフスキは詩人だ。


✳︎ ✳︎ ✳︎


因みに‘手を挙げろ’には3つの意味があるとのこと。「投降の命令」「雨乞いの踊り」「挙手」である。挙手とは、ナチスや北朝鮮などでもみられる一同、御意!という挙手のことであり、スターリン時代を象徴している。

既存の映像に新しい映像を付け加え完成させた作品といえばズラウスキー『シルバー・グローブ』が思い浮かぶが、本作はそれとは本質が異なる。本編は’67年にすでに完成していた。付加したイントロ部分は監督自身が冒頭で示しているように、彼の「日記」である。従ってこのイントロはどんどん増やすことも可能なのだ。

今年80歳になる彼は現在、主要な表現活動を絵画制作にあてているとのこと。日本での個展が実現するといい。また、初期作品が霞むくらい素敵な新作もみてみたいと思う。
Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

3.8
‪「手を挙げろ!」‬

‪冒頭、スターリン主義時代。
貨車、元医学部の学生。中年の獣医。同窓パーティー、再会、反体制活動、回想、口論と自問、理想主義、非純応主義、青春時代、物欲。今、共産主義について考察する様子が映される…

本作はカラー部分が25分で、トータル78分の映画でプロローグから始まる。

それは監督スコリモフスカが自らを紹介した後に本作の上映禁止処分の背景を語りながら81年にその封印が解かれた事情を観客に問う。

そしてかろうじでキャリアを潰されそうになった彼の恨み節が随所に写し出される。

この度、本作を初見したのだが色々と度肝を抜かれるシーンがある。

とりわけ映画好きな自分としてテンションが上がったのはブリキの太鼓でパルムドールに輝いたドイツの監督シュレンドルフ監督の「偽造」と言う日本未公開映画があるのだが、それに監督が出演しているその姿が映像として映し出されるのはかなり嬉しい。

因みに未見…。

それに監督自身の最高傑作と言っても過言ではない「早春」の主演女優が画面に映し出されたりもする。

因みに監督自身は「エッセンシャルキリング」がキャリア史上の傑作と自負している。

それに同じくポーランドの監督で愛して止まないアンジェイ・ワイダの作品を見て知ったポーランド統一労働者党…日本で言う共産党のいわば連帯やデモ行進や支持者の映像は迫力があるし、ワルシャワの文化学宮殿が写し出されているのはストーリーとしてはグッドである。

本作は前作に引き続き"アンジェイもの"の最終章である。

さて物語は1960年代が舞台だ。
同窓会で5人の元医大生が久方ぶりに再会する。

終電を逃し貨物列車に乗り込み自分の仲間に会いに行く。その列車の中の無数に蝋燭が灯す場所で5人はパーティーの続きを行う。

そこで各自の現況を告白し所有する車の名前を呼びあって、彼らは会話をし始める。

ここは非常に面白いところで、ある人はアルファと名乗り、ある人はロメオと…車の名前だ。

そして告白が終わるとアルファを名乗る女は男性たちに一定ずつの興奮剤を与えていく…とネタバレにならないように簡単に説明するとこんな感じで、この映画冒頭から引き込まれて、SF映画のように登場人物が写し出され、相手の見えない暗闇でのピンポンを打つ描写に変わる。

このシークエンスは画期的である。

続いて肖像画が画面に映し出される。
数十人の走る男性の描写に移り変わり外の警官が写し出される。そこは異様な破壊に満ちている。

瓦礫の山、炎が立ち昇り、白いフードをかぶり炎上するピアノに座る男、また肖像画の描写に変わる。爆発、廃墟化した建物、恐怖に満ちた音楽とまるで別の宇宙を見るかのような破壊し尽くされた現状、流れるカメラワークが捉え?無残性…

不意に男性のカメラ目線や荒れ狂う海の描写、1人称で語りながら犬2匹が映される。

続いてポーランドの旗が風にな靡きながら歩道橋から男性が川に落下する。‬

‪この映画の特徴の1つに絵が写し出される。
多分監督自身が好きなポーランド人画家の絵画作品を紹介しているんだと思うが実際はどうかわからない。

頭に包帯を巻きつけた男が演説するシーンの描写とかインパクトがある。

もはや何を見せつけられてるのかよくわからないキャンドルの演出や粉だらけになる場面はすごい難解である。

だけどこの映画の最大の見せ場はなんといってもスターリンの巨大な自画像の巨大布パネルを映し出す場面だろう。

それとあの数千本のキャンドルの演出も凄いし、泥まみれや前衛的で実験的な映像集には当時、かなり画期的だったんだろうなと思う。

この映画「身分証明書」と「不戦勝」の続編で、主人公の名前も一応アンジェイとなっているのだが、この作品にはその名前が呼ばれる事はないが、最後らへんに医師免許を画面に見せる場面があり、その時に文字として披露される。

といってもこれ一応3部作となっているが、前作もその前も主人公が異なりすぎている。

なので正直つながっている感じがあまりしない。正直監督自身はこの作品の前に「出発」と「バリエラ」を撮影していて、それは3部作とは関係ないので後回しに見たが、こっちを先に見て本作を見るのも良いのかもしれない。

とりわけポーランドの悲惨な歴史を少し勉強する必要もある。

なぜならホロコーストへの言及もされるし、毒ガス チクロンへの言及も重ね合わせられている場面があるからだ。

時には皮肉に時には比喩に…。

最後に余談だが、ベネチア国際映画祭に出品予定だった本作が取りやめになってポーランドでの映画を作らないと決意した彼が、数年間撮らずに他国で活動していたきっかけになったのはこの映画からである。だから67年の作品にも関わらず上映時期が81年ってのも納得はする。

それと映画とは全く関係ないのだが、スコリモフスカ自身がベイルートに3カ月間滞在しているとの事を知った上で本作を見ているから、レバノン内戦を思い出し日本から逃げたゴーン容疑者がちらちらと頭の中に浮かんでものすごく邪魔だった…。

それにしてもこれほどまでに野心的な映画も滅多になく、これが監督の最高傑作といってもいい位だと個人的には思う。

少なくともこの3部作の中ではダントツに素晴らしい映画だ。‬

‪とは言え、不戦勝も中々のクオリティで好きなのだが…。まだ未見の方は是非。‬