ベビーパウダー山崎

ニックス・ムービー/水上の稲妻のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

3.5
己の表現のため死に直面している作家をマナ板に乗せてうまいこと料理しているモジャ毛に丸メガネのヴェンダース。ウブな映画少年面して苦悩を見せたり寄り添ったり突き放したり当時の美人妻ロニー・ブレイクリーを連れてきたりするのは何時も引っかかるけど、表方の役割を引き受け、映画監督が映画のために「演技」をしている、肉体から魂が離れていくギリギリの状態でも映画にだけは抗えない従順な姿勢にはどうしても感動させられてしまう。ニコラス・レイの止まらない咳は『ユリイカ』の役所広司に受け継がれている。「現実とは社会に適応することだが、社会に不適応なものを締め出していいのか」。至言。