いやニコラス・レイってこんなやかましくてジョークも言える人だったの！？多少の格好つけはあったにせよ、他のどのヴェンダース作品の主人公より勇ましく思う。ソファに横たわりつつ『ラスティ・メン/死のロデオ』の帰郷の理由を試すように尋ね、舞台袖でタバコを踏んで消してから現れる一連に痺れる。
本当に衰弱してコンセプトが崩れてからは各人の動作よりカット割りが乱雑になっていく感覚にシフト（しなきゃいけなかった）か。エピローグでオチをつけて物語たろうとする小賢しさよりもマッチの火が喧騒の中ですっと消えていく虚しさにグッとくる。
