映画男

ジャンクフードの映画男のレビュー・感想・評価

ジャンクフード(1998年製作の映画)
4.5
良すぎた。4つのチャプターに分かれた構成で、1と4以外はまるきり別の話が展開する。1と4はひとり暮らしで慎ましく、たくましく生きる老女がドキュメンタリータッチで描かれる。演者は山本監督の実際の母親らしい。それを挟むように、2と3の物語はジャンクすなわちアウトサイダーの日常を捉えた物語。ヤク中のOLや横浜のチーマー、パキスタンの不法移民たちを冷徹な目で捉えた劇映画。素人俳優もたくさん出ていたとおもうが、それをよくまとめ上げた演出に拍手したい。全体を通して伝わってくるヒリヒリした感じが刺激的だった。社会の闇に目を向けてそこから生まれてくるエネルギーを映画に昇華している。エンディングで町田康が歌う「どうにかなる」もこの映画を総括してまとめ上げるような、かなりしっくりくる選曲だった。(この曲を気に入ってアルバムを聞いたが「どうにかなる」の次の曲が「もうだめだ」で笑った)。とにかく、この映画、もっと評価されるべき作品であることは間違いない。
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