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CASSHERNのefnのレビュー・感想・評価

CASSHERN(2004年製作の映画)
3.6
 セピア調の全体主義っぽい空気感とか新古典風の建築とか近代に蒸気機関を接合したような乗り物とか...庄野晴彦の部分はすごい。シナジー幾何学の集大成と言ってもいい。
 ただCGの抽象度と生身の人間が合ってない。色調や逆光で誤魔化そうとはしてるけど、顔や髪の線に違和感がある。これなら最初からCG作品として発表したほうが受け入れられただろう。
 カット割も雑。カットバックの度にアングルを変えるから位置情報が混乱する。時には妙なショットもいいかもしれないが、それは安定した会話と切り返しがあってのことだ。シーン毎に芸を見せても作品の質は落ちるだけ。
 脚本については言わずもながら。説教臭いというか知性を感じられない。語彙が少ない。死ぬな生きろ死ぬな生きろ、類語辞典を引くくらいの努力をしてはどうか。
 庄野晴彦映画としては素晴らしいが、映画としては未熟すぎる。最近はCGスタッフとしての仕事しか見かけないが、どこかで作家性を発揮しないだろうか。これが代表作ではあんまりだ。
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