てろおか

CASSHERNのてろおかのレビュー・感想・評価

CASSHERN(2004年製作の映画)
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長い戦争に勝利し
世界の覇権すら握れる勢いの
超大国 大亜細亜連邦共和国

その代償として
国土は荒廃し公害病は
蔓延し、各地で民族テロが続発する
政治は独裁支配による腐敗が
止まらず、誰もが自分さえ
良ければの考えで弱者を
虐げ弾圧する。
まさに終末世界の有様ですが
我々の世界も少しずつ
この世界に近付きつつあるのでは
ないのでしょうか。

映画というものは
様々な制約から作家性というものは
ときに研ぎ剥がされ、結果的に
印象に残らない作品が
往々にしてあります。
しかしこの紀里谷和明という
監督は妥協という言葉を知りません。
まだ若く、純粋に世界平和を
願う彼の思いを本作では
全力で観客にぶつけてきます。
剥き出しの作家性と対峙するとき
時に人はその熱苦しい説教臭さに
辟易することがあります。
僕も当初はそうでした。

しかし改めて本作を観てみると
その愚直ともいえる剥き出しの
表現こそが思いを伝える手段として
一番近道なのではないかと
思えるようになりました。
紀里谷監督本人が言うように
本作は鑑賞後、誰もが何かを
考えるキッカケになれる作品です。
大義名分や肩書きに
固執しすぎて一番大切なものを
見失ってやしないか
誰かを傷つけてやしないか

混沌としつつあるこの世界で
誰もが心のどこかで
救世主(キャシャーン)を
求めているのではないでしょうか

邦画界は彼のような
人間を排除するべきでは
ないと思います
てろおか

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