しんご

ファンボーイズのしんごのレビュー・感想・評価

ファンボーイズ(2008年製作の映画)
3.7
「エピソード7:フォースの覚醒」(15)の公開前、余命2ヶ月のスターウォーズファンの男性が観ることの叶わない新作に対する無念をSNSに投稿。その叫びは製作陣やルーク役のマーク・ハミルの元に届き、彼らの尽力によりこのファンの男性は公開前に「フォースの覚醒」を鑑賞することが出来た。鑑賞後しばらくしてから男性は天国に旅立ったそうだ。

「事実は小説より奇なり」とまではいかないが、このエピソードはとても自分の興味を引いた。というのも、このノンフィクションは本作とかなり内容が類似していたからである。

余命2ヶ月のライナスのため、まだ公開前の「エピソード1:ファントム・メナス」(99)のフィルムをルーカスランチから盗もうとするスターウォーズヲタ達の活動を描いたコメディ。

よくあるパロディかと思いきや、脚本におけるセリフ回しやシーンの構図が秀逸で1本のコメディ作品としてかなり楽しめた。父親の会社で働きヲタを卒業したエリックと未だにヲタまっしぐらなハッチ達との対比もキャラクターバランスを保ついい設定だ。「いくつになっても“ルークがレイアを好きか?“なんて話すつもりかよ?」と呆れるエリックの発言は笑えるし、ヲタ同士に出来る溝をわかり易く演出している。

実はスターウォーズ以外にも「スター・トレック」など多くの作品が劇中で扱われている。個人的には、ハッチが「ハリソン・フォードは名優だ。ハズレ作がない。」と断言した後で車が「6デイズ/7ナイツ」(98)の看板を横切るシーンに笑った。あの映画はそんなに駄作かな?笑。あとフィルムを盗む計画を「バットマンの乳首くらいアホな話だ」とエリックらが呆れられるシーンも好き。これはバットマンシリーズ中でも屈指の駄作である「MR.フリーズの逆襲」(97)でジョエル・シューマカー監督が演出したバットマンの衣装のことを指しているのだけど、この様な細かすぎる小ネタが随所にありすぎて好き。

更に堪らないのがランド役のビリー・ディー・ウィリアムズ、ダース・モール役のレイ・パーク、そして何よりレイア役の故キャリー・フィッシャーが出演していること。ハリウッドの懐の広さを感じたし、キャリーが「帝国の逆襲」のあのセリフを言う捻りの聞いた演出には痺れた。

全てのスターウォーズファン並びに映画ファンに捧げる愛すべき映画。
しんご

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