1960年代の香りが漂う(制作は'71年)お洒落ポルノ。
パリで暮らす若く金も無い夫婦の葛藤を、あの手この手のモンタージュを凝らして描いていく。
前半は、金払いの悪いプロデューサーの元でヌードグラビアを撮っている写真家の夫(少しろくでなし)の仕事ぶりと、裕福な人妻との不倫旅行を描きながら・・・周りに友人もおらず、夫の稼ぎが悪いので遊ぶ事も出来ない妻が、家事の合間に友人と長電話をしたり、お昼のワイドショーを眺めたり・・・と、退屈で空虚な専業主婦の生活を送っているシークエンスを、断続的に差し挟む。
当時のパリの町並みや生活の営み、まだフランスでも専業主婦が多かった時代の様子を眺めながら・・・一体、何を見せられているんだ?という気になる。
それが後半、不倫相手の夫と共に、物語も動き始める。
その結果、夫婦の置かれた状況は逆転し崩壊するのだが、家を飛び出した2人が夜の街を徘徊しつつ互いが道程を逆さに歩み、結果、再び巡り会って環が閉じる・・・という構造になっているのが面白い。
誰だ、お前?という様なキャラクターが脈絡も無く登場して2人に関わって去って行く感じも、ロードムービー風。
まぁ、比較的良質なフランスのおしゃれポルノです。