ハレンチ学園在学生

にっぽん泥棒物語のハレンチ学園在学生のレビュー・感想・評価

にっぽん泥棒物語(1965年製作の映画)
3.5
65年東映。48年東北が舞台。破蔵を企む前科4犯の泥棒が列車転覆事件を目にしてしまう(松川事件を題材にするが本編では杉山事件と名を変えている)。そののち偽歯医者などをして妻を取り、普通の生活を装い暮らしていくが、事件の裁判で冤罪の死刑囚を救うため、家庭を捨てて証言台に立つ決意をする。悲劇を予想していたら、ユーモラスな証言が功を奏し大団円を迎えたのにはいささか驚いた。ハリウッド映画のようだ。社会派の山本薩夫作品としてはコメディ要素が強く異質な感じがするが公開当時の世評は高かったようだ(キネ旬4位)。田舎娘を演じる緑魔子や正義感の強い青年を演じる室田日出男、若き弁護士役の千葉真一など珍しい役柄の面々が見られたのはよかったが、ユーモアの中にも真面目なストーリーと枠組みにもやっとした感じが残った。