Nekubo

呪われた毒々魚〜人類滅亡の危機〜のNekuboのレビュー・感想・評価

4.0
1978年製作のモンスターパニック映画…の皮をかぶったサスペンスホラー映画。日本では劇場未公開だが、その当時テレビでは『バラクーダ』という原題のままのタイトルで放映されていたとか。

あまり話題にはならなかったようだが、2017年になって漸くDVDソフト化された。

海洋生物学者のマイクは学生等と共にストーニー岬の海水汚染を調査しにきていた。この海の近くにはジャック化学工場という薬品会社があり、この会社が薬品を海に流しているのではと疑っていたのだ。これに関しては見事的中し、マイクと会社の社長であるパパ・ジャックは対立することになる。

その一方でこのストーニー岬では行方不明者が多発するというもう一つの不可解な事件も起きていた。マイクと共に海洋調査に同行し海に潜った友人もその事件に巻き込まれ、後に生首死体となって浜辺に打ち上げられる。

明らかに、何かに襲われたであろうその死体。これは後に海に撒かれた薬品の影響で狂暴化したバラクーダの仕業であることがわかる。マイクはバラクーダと海水汚染の調査を進めていくとともに、実はその裏で暗躍する巨大な陰謀に気付くことになる。


サメでもなく、ピラニアでもなく、バラクーダ?という部分に注目する人は少なくないはずだ。バラクーダとは簡単に言ってしまえばカマスである。この映画は海洋生物パニック映画でも唯一無二のカマス映画なのだ!

だからどうした?って話なのだが、カマスが人を襲う映画なんて後にも先にもこれ一本だと思っているので、まずモンスター映画ファンは観ておいて損はない。カマスもといバラクーダのシーンは実際に泳いでいる姿を撮影したものと作り物を交互に使い分ける形で撮られている。もちろん、ジョーズよろしく海中を漂うバラクーダの視点のショットも盛り込んであるのでそこは期待して良いだろう。

さて、特筆すべきはただの海洋生物パニック映画で終わらない、二転三転する物語だ。70年代と決して新しくはない映画であるが故に古典的なモンスターパニック映画なのでは?と期待せずに観ていると、終盤ではもっとスケールの大きい物語へと転じていく。

毎度ながら基本的にネタバレの感想を書くのは好きではないので決して明かさないが、冒頭で書いたように、要はモンスターパニック映画の皮をかぶったサスペンスホラー映画なのだ。

どうやらこの映画は2017年のDVD化が初のソフト化(つまりVHSにもLDにもなっていない)のようなので、本作を観たことがある人も少ないだろう。それだけにこの映画の物語の意外性は是非とも自分の眼で観て味わってほしい。

さて、この映画の物語を締めくくる結末というのもまた素晴らしいものなのだ。これこそ、いわゆる「ネタバレ禁止!」である。

この映画の結末を観て、あなたは何を思うだろうか?どういう表情を浮かべるだろうか?笑
Nekubo

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