akubi

左利きの女のakubiのレビュー・感想・評価

左利きの女(1977年製作の映画)
5.0
彼女の孤独がじんじんと、しもやけみたいに痛かった。あの刹那の記憶は遠くに見えたたき火と終わりのないような並木道。言葉にできない色の空。
ときたま目に写る他人の陰鬱が、わたしのこころを慰める。孤独の共鳴。

期限切れの愛も、ポイポイ捨てられたらいいのにね。素直になれなくてふいにこみ上げる焦燥感と絶望をなにかにぶつけてしまう。そんなことをしたってまた、ため息と涙にかわるだけなのに。
どおすることもできないお天気みたいに、なるがままに揺蕩えたらどんなにいいだろうか。

曖昧 なくせに 適当 がわからない不器用なおとなたちのメランコリー。外からみると可笑しくて、憂鬱な自分を笑えてしまっているようなカタルシス。

ハントケさんていつもそっけない優しさをくれるから、きゅんとしちゃうんだよ。
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