ユウサク

左利きの女のユウサクのレビュー・感想・評価

左利きの女(1977年製作の映画)
5.0
4Kレストア版

めちゃくちゃ良い。フェミニズム文脈からも重要な作品な気がする。

マリアンネががんじがらめで生きてきたことを言葉や説明的な音楽でなく映像のみで淡々と示す。カメラ移動も極力廃し画角を決めて撮る、画角を決めて撮る、の連続だったのがわかる。そういうの本当に好き。
とりあえず心の赴くままに竹馬乗ったり家の中にある全てのものを動かし、捨てたりするシーンが全部良い。街を能動的に散歩してたらたまたま合流した少女としばらく歩き、会話したのかすらわからないけど別れる時はバイバイしてるとことか最高。こういう中間の省略がスマート。
マリアンネとブルーノが家の中で対峙する中盤のシーン、ダラダラ喋るブルーノに「よく考えたわね」と嘲っているのか本心なのかわからない絶妙なトーンで言い放つマリアンネに軍配。もうこの人が独りで生きていくと決めることは最後まで見なくてもわかることだけど、それでも途中の描き方が豊かで飽きなかったから凄いと思う。父親のキャラも若干説教くさいが憎めない感じだった。30〜40代の娘のカーディガンを「破れてるよ」って言って縫ってあげる60〜70代の父親って映画で初めて見たかも。

これDVDしか出てないのか……。もう少ししたら4Kレストア版のBlu-ray出るかな。これはぜひとも手元に置いておきたい。
ユウサク

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