ツクヨミ

左利きの女のツクヨミのレビュー・感想・評価

左利きの女(1977年製作の映画)
1.2
文豪が手がけた女性映画はわりかしアケルマンよりだった。
"まわり道"や"ベルリン天使の歌"などヴィム・ヴェンダース作品で脚本を手がけたペーター・ハントケ。彼が撮った長編2作目でわりかし小津安二郎のオマージュがあると聞き見に行ってみた。
まずオープニング、わりかし固定ショットで無人の町の様子を次々描写していくのが美しく確かに小津っぽい。また撮影監督がヴィムヴェンダース組のロビー・ミューラーということもあり列車を捉えたショットがロードムービー三部作っぽくもあるのが良いかも。
しかしストーリーというかキャラクターは無機質というか冷ややか、その点は小津やヴィムヴェンダースよりかはシャンタル・アケルマンっぽい。女性のありのままを捉え日常の鬱憤した本質を語る映像力は確か、だがそのため退屈なシークエンスがずっと続くのがキツくもある。ラストまで結局何も進展してなさそうな人間関係は確かに"まわり道"に近いかなと感じたがあまりにもつかみどころがなさ過ぎた。
あとやはり"東京の合唱(らしい?)"のサンプリングと小津の晩年の写真のド直球さには笑った。子供と見ている主人公と家族で遊ぶ映像を合わせるオマージュというかサンプリングのあからさまな感じが逆に良いね。でも一本の映画としてはいかんせん微妙な作品だ。
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