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T-フォース べトコン地下要塞制圧部隊のsugasanのレビュー・感想・評価

3.0
原題("TUNNEL RATS")にもなっているベトナム、クチ州の地下トンネル攻略に送り込まれたトンネルラットを題材にした戦争アクション。

ドイツ、カナダ合作でドイツ人監督がアメリカとベトナムの戦争を描くという、誰に何の得があって本作が作られたのか不明だが、自分は本作でトンネルラットという部隊の存在を知ったので、少なくともその点においては映画化した意義はあったのかもしれない。

前述の通りアメリカが制作に関わっていないおかげで、アメリカ万歳映画にもならず、ベトコンに対する悪意丸出しの描写もなく、中立の目線で描いているのが最大の特徴。

本作を象徴するのが、ナパームで生き埋めになったアメリカ兵とベトコンの女性が協力して土砂を掻き出そうとするシーンで、極限状況では人種も国家も関係ない同じ人間同士手を取り合えるはずなのに、無慈悲に力尽きるラストは戦争の愚かさを痛烈に批判している。

数年前に『ハウス・オブ・ザ・デッド』を撮っていたおっさんが、こんな重厚な戦争ドラマを撮るとは誰が予想しえただろうか。
ゴミ監督か、はたまた非凡な才能の持ち主なのか、作品を観れば観るほどウーヴェ・ボルという監督がわからなくなる。
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