りょうすけ

魔女のりょうすけのネタバレレビュー・内容・結末

魔女(1922年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

「魔女」

悪魔の仕業か、それとも人間の弱さか。
悪魔や魔女について描いた教科書的な映画ではあるがドキュメンタリーではない。全7章から構成され、人類の歴史における悪魔や魔女の立ち位置や魔女狩り、そしてなぜ人々は魔女と呼ばれ刑に処されなければいけなかったのかを順を追って追求していく。
魔女の嫌疑をかけられた老婆が自らを魔女と認め、儀式の様子を語る。その発端となった女性もまた修道士を誘惑したとして魔女の疑いをかけられ火刑に処される。
拷問や修道士たちの罠によって魔女に仕立て上げられ刑に処された数は800万人を超えるという(実際にはもっと少なかったらしい)
内容もさることながら作中で提示されるイメージや悪魔、魔女などのビジュアル面での満足度も高い。ムルナウの「ファウスト」や「吸血鬼ノスフェラトゥ」もだが、この時代のサイレント映画は声がない分なのかインパクトがある映像の堪能できるのが凄く良い。映画における全てのカットが宗教画のよう。そして本作では珍しく女性の裸体も披露されている。私が今まで見た中では最古かだと思う。
最後の章では「魔女」と呼ばれた人々が現在の観点で見ると「ヒステリー」という精神疾患であった可能性があると提示される。そして当時の火刑は今の病院でのシャワーによる療養に置き換わっていると。何とも嫌な歴史だ。
りょうすけ

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