てっちゃん

反逆のパンク・ロックのてっちゃんのレビュー・感想・評価

反逆のパンク・ロック(1983年製作の映画)
3.7
予告宣伝で流れていたので、すごく気になっていた作品。

青春時代は、ポップパンクに嵌りに嵌っていたのもあったので、ライブキッズスタイルで臨もうと思ったけど、流石にやばいだろと思い、気持ちはパンクキッズの面持ちで行きました。

3人、、観客少なすぎない?
前に観た"みんなのヴァカンス"は沢山入ってたのに!
残り2人の方もパンクキッズに違いない!と思いつつ鑑賞開始です。

触れ込みとして、レッチリのフリーさんが出演しているということは何故か知っていたけど、熱心なレッチリファンではないので肝心のフリーさんのお顔をぼんやりとしか知らないから、上映後も誰だったの?って感じだったけど、パンフにきちんと書いてあって、あのネズミの口に入れてた方だったんですね!
フリーさん曰く、本作はパンク界におけるバイブル的な感じみたい。

ちなみにこのパンフは簡潔で要点を押さえている感じの、ぺらいパンフ。
それを読むと、本作出演の役者さんらは、ほとんどが演技未経験というか、実際のライブハウスとかでスカウトしたパンクスの方達なんだとか。

ライブしていたバンドも本物の、パンク・ハードコアシーンの猛者たち。
全然知らないバンドだったけど、めちゃくちゃかっこよかったな。
道理で本物感を感じたわけですね。

ペネロープ・スフィーリス監督さんは、パンクドキュメンタリー映画を撮ったりと、パンク音楽に精通している方とのこと。
だから本物でやらんといかんだろ!との気合いを感じるし、道理でなんだかドキュメンタリーっぽいなと感じたわけだ。

さて本作の感想です。
登場人物全員に感情移入は決してできないような感じなんだけど、ぶつけようのない怒り、若さ故の衝動的な怒りを感じる作品でした。

それがまさしくパンク精神であり、だからこそ本作は屈指のパンク映画としてリスペクトされているのではないでしょうか。

なんてクズな人間なんだ、、と思うけど、自分のことを振り返ったり、いろいろ考えてみたら、人間ってみんなクズじゃんって行き着くので、これはクズがクズに対しての物語であるのでしょう。
ただしクズになるのには理由があり、その理由は各自それぞれ。
そのクズと対峙したときに、どうするのか。

物語を進めていく中で、唯一の救世主が現れる。
でもT.R.のメンバーたちは、救いを求める方法を知らない。
知っていたけど、それは自分らのポリシーに反するから、やらない。
それが自分を自分と認められる唯一の表現だからではないだろうか。

ラストはあのときこうしていれば、、、が蠢き、結局のところメンバーたちの行動は全てが無駄だったのか。
少なくとも言えるのは、きちんとした家庭環境があればということに尽きる。
このラストもメンバーの唐突な裸シーンも、ロジャー・コーマンさんが追い求めた結果っぽくも見えるから、非常に判断に困る箇所はある。

作品そのもののはアホらしいなと思うかもしれないし、実際に笑ってしまうような無鉄砲な行動をする。
でも若い頃のぶつけようのない怒りを感じたことがあるだろう。
それを思い出して観ると、また違う見え方になるかもしれないなと感じた作品でした。
てっちゃん

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