似太郎

愛のそよ風の似太郎のレビュー・感想・評価

愛のそよ風(1973年製作の映画)
5.0
【ソバカスのある少女】

初老の男性と可憐な少女の純愛を描いたイーストウッドらしく変態テイストな作品。内容がキャッチーなので設定にイビツさを感じさせないのが不思議と言えば不思議である🤔

ブリージー(そよ風)という名の自由奔放な娘とウィリアム・ホールデン演じる風格あるおじ様との恋愛模様が、淡々と容赦なくシビアに描かれた逸品。

秋のカリフォルニア州の燻んだ風景が美しく、後の『マディソン群の橋』を彷彿とさせる渋さ。さすがは巨匠イーストウッドだけあって老成した演出の小技が光る。

決してエロ目線ではなく、身寄りのない男性が少女との出逢いを通じて新たな人生の一ページを歩んでいく過程を詩的に綴ったヒューマンドラマとなっている。全体的に慎ましく日本人好みの作風が秀逸な「変態映画」の名品。

この二人が中盤に観に行く映画でイーストウッドの自作『荒野のストレンジャー』のポスターがこっそり出てくる辺りはご愛嬌。小品ながらも人間愛に満ちたイーストウッドらしく円熟したラブロマンスの傑作。
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