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ひと月の夏の缶のレビュー・感想・評価

ひと月の夏(1987年製作の映画)
4.1
何も起こらないと言えばまあ何も起こらない。塹壕の世界から、理解者のいない世の中に突如放り出された二人の元軍人が、仕事を求めて辿り着いたヨークシャーの古い教会で出会う。吃音を抱えたバーキンと、セクシュアリティを理由に罰せられたムーン。

戦争から日常を完全に取り戻したように見えるが、よく見ると皆何かを失っている。アリス・キーチは、自分の倍ほどの牧師と結婚している。戦争で若い男が死んだから。ムーンは塹壕を模した穴に潜って眠るし、駅長の息子は戦死している。様々な形で傷つき、喪失を経験した人々が出会い、小さな村でイギリスの夏を過ごす。なんとも言えない空虚さと暖かさと癒しが心に染み込んでくる。

想像以上にいい映画だった。バーキンとムーンのバディものとしてもいい。アリスとの恋愛はサブプロットのように感じるけど、とても印象に残っている。
they shall not grow oldの、一つの続編。
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