kazマックスグローバーレッド

少林拳王子のkazマックスグローバーレッドのレビュー・感想・評価

少林拳王子(1982年製作の映画)
3.6
日本でハンカチ王子やハニカミ王子など騒がれていた随分前から香港では既に〇〇王子と呼ばれていた男がいた、我らがティ・ロン主演『少林拳王子』(劇中ではそんな名称で呼ばれてませんが…)

次期皇太子になる2人兄弟の赤ん坊ツータイとタオシンを狙うのは宿敵「鉄の二本指を持つ九王爺」率いる暗殺集団。
追っ手から逃げる為に護衛たちは10人ほどの影武者赤ちゃんを胸に抱いての大活劇。いやいや、剣が赤ちゃんに当たったらどうすんだい、全然護衛になってないわ、と映画が始まって2分ほどで失笑してしまった。

生き別れとなったツータイとタオシン兄弟。少林寺で三バカ和尚に育てられ成人したタオシンこそがティ・ロン兄貴。
やがて兄弟は再会するも仲違いしたりイチャイチャしたり、こういう役はティ兄貴の十八番だね。

今回はジャッキー・チェンの『拳』シリーズが流行ってた時代なのでティ兄貴はコミカルなカンフーアクションに挑戦、前年に公開されたサモ・ハン監督の元祖ホラーコメディ『鬼打鬼』にも影響を受けてホラーパートもありますよ。流行り物は何でもマネする香港映画品質は健在で、劇中音楽は79年の『マッドマックス』第一作を何の悪怯れもなく丸パクリ、予告編にまで堂々と使ってるわ。

「火と水の刺客」や大事な一本毛が抜けた波平さんのような軍団「十八羅漢陣」など対戦相手も超個性的。水面から剣先をサメの背ビレのように出して迫ってくる「水将」の喋りは何故オネェ口調なんだ。タオシンの師匠三バカ和尚は「バネなし木製ホッピング」に乗って戦い、ラスボスは「カラクリ神輿」に乗って戦うって、当時の香港映画人の発想は奇想天外で素晴らしいです。