ナーオー

バッドタイムのナーオーのレビュー・感想・評価

バッドタイム(2005年製作の映画)
4.0
『エンド・オブ・ウォッチ』『フューリー』のデヴィッド・エアーの初監督作にして半自伝的な作品。

荒くれ者たちを描いた作品が多いデヴィッド・エアー監督。脚本家デビュー作となる『U-571』に携わる前は『エンド・オブ・ウォッチ』の舞台であるサウスセントラルでギャング同然な生活を送っていた と語っており、その経験が『トレーニング・デイ』や『エンド・オブ・ウォッチ』、そして本作『バッド・タイム』に繋がったそうです。

本作『バッド・タイム』のストーリーはもちろんフィクションですが、デヴィッド・エアーが自分自身をモデルにして作っていると思われる部分が多いのが印象的。クリスチャン・ベール演じる主人公ジムは元軍人。除隊後は仕事に就かず、地元のワル仲間たちと自堕落な生活を送っていますが、これは正しくデヴィッド・エアーが脚本家になるまでの姿そのもの。

後の『エンド・オブ・ウォッチ』や批評的には失敗しましたが、同じサウスセントラルを舞台にしたクライム映画『LAスクワッド』同様に暴力が身近な男たちを描いているので、内容は暴力的。他の作品と同じくらい乱暴な語り口が特徴ですが、本作は監督デビュー作ということもあり、もっと語り口は乱暴。めちゃくちゃ粗削りですが、デヴィッド・エアーらしい骨太さは残っているので、これはこれでこの映画の味わいに繋がっていると思いました。

『エンド・オブ・ウォッチ』に比べると完成度は少し欠けてしまいますが、デヴィッド・エアーとはどういう人なのかがよく分かる作品でした。何よりも監督としての彼の原点を観ることができる作品なので、デヴィッド・エアーファンの方は観る価値アリです。
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