爆裂BOX

Dark Floors ダーク・フロアーズの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.6
自閉症の娘サラを病院から連れ出そうとしたベンは、サラや止めようとした看護師エミリーや他の客と共にエレベーターに閉じ込められてしまう。やがてドアが開くが、フロアには誰一人いなかった…というストーリー。
北欧のメタルロックバンドローディが原案&出演したホラー。監督も彼らのMV手掛けてる人みたいですね。
フロアを人の姿を探して探索するベン達ですが、サラの異常行動と共に5人のモンスターが現れて彼らに襲い掛かってくるという内容です。
ローディというメタルバンドは全然知らなかったんですが、彼らがステージ衣装のまま演じるモンスターは女ゴーストやプレデターのような怪物等造形も凝っていて、エレベーターの床や壁突き破ったり登場シーンも迫力があります。砂嵐の中から人型になって現れるシーンはちょっと「ハムナプトラ」ぽかった。リーダーでボーカルのMr.ローディは最後に登場するけど他のメンバーと違ってあんまり活躍しませんでしたね(笑)
グロ描写はほぼないですね。大体の登場人物が殺されるシーン映されませんし。ウィリアム・ホープが心臓抉り出される所くらいか。
娘の為に必死で奮闘する父親、サラや怪我人を看護するヒロイン、勇敢な黒人警備員や嫌味なオッサンなどキャラは類型的かな。自己中で嫌味なオッサンを「エイリアン2」のゴーマン軍曹演じたウィリアム・ホープが演じてます。エレベーター内で怪物に襲われた彼を助けようとした警備員が消火器で彼の頭殴ってしまう所は笑ってしまいました(笑)
主人公の父親と自閉症の娘を含む6人が迷い込む異世界の病院の暗く、錆に覆われた死体の転がる世界観はゲームの「サイレントヒル」を彷彿させます。終盤の主人公の姿が他の人間に見えない白く明るい通常の病院と、暗く死体が転がる廃墟のような病院を交互に映す所も「サイレントヒル」の表世界、裏世界彷彿させますね。ゲーム、映画の「サイレントヒル」の影響かなり感じました。
時間軸をズラして、階段で階下から銃撃してきた者やインターホンで連絡とった相手など「最初のアレはこういう事だったのか!」と後になって繋がっていくループ物な演出も面白かったです。抱き合った形の黒焦げ死体は絶対主人公とエミリーのなれの果てだと思ってただけに、そっちかい!と思っちゃいましたね。
動き出した死体の中を駆け抜けていくシーンもイイです。遺体安置室で、遺体の収容されてる扉がガタガタ揺れたり、暗闇の中でライターで照らされた明かりの中、こちらにゆっくり迫ってくる死体たちが浮かび上がる演出も良いですね。
ただ、どうしてこんな事態に巻き込まれたのか、自閉症の娘サラは何を知っていたのか、等全ての謎に答えが示されないまま意味不明なラストを迎えるのが残念ですね。ある程度の謎の回収はしてほしかったです。父親も最後に娘に消されちゃったし可哀想すぎない?なんであんなことになったのか?サラ以外に何か知ってそうなホームレス風の老人も意味深だけどよくわからない事しか言わないし。
特典でワールドプレミアの模様も収録されてますが、劇中の格好のまま記者会見受けてるの面白かったです(笑)Mr.ローディもスゲェ喋るし(笑)
ただ、モンスター造形や病院の不気味な雰囲気や演出などはメタルバンド制作のB級ホラーにしては上出来の部類です。