kuzira

壊れ始めてる、ヘイヘイヘイのkuziraのレビュー・感想・評価

4.4
真っ直ぐすぎるからこその屈折感

とにかく飛び蹴りの形が毎回綺麗すぎて本当に拍手物です。
謎のスッキリ感は多分、社会性を1番に気にしてしまう不甲斐ない自分を木吉がドロップキックしてくれる爽快さだったりするのかな。

特にマコトを飛び蹴りするシーンはまさしく自分自身が蹴られたような"呆気なさ"と"驚き"と"情けなさ"が心に大きな足跡をつけてくるのでポッカリと隙間ができてしまう感覚を覚えました。

最初は只々スッキリするのかもしれない、不道徳で厄介な人間を成敗する気持ち良さはいづれ自分自身を混乱させる。
その戸惑いを間違いだと認識する強さを時間経過を通して、飛び蹴りという行動を通して、マコトに教える真っ直ぐさに惚れてしまいます。

いつしか自分への快楽として大切な人に飛び蹴りを要求している過ちを振り返り、
私を救ってくれたあの飛び蹴りをすべて台無しにしてしまった事を認める。
認める強さを手に入れたマコトの「バイバイ」は高級イヤホンの重低音のようにドクンドクン胸に響いていく悲しい心地よさ。
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