矢吹

71フラグメンツの矢吹のレビュー・感想・評価

71フラグメンツ(1994年製作の映画)
3.9
ちりばめられた、瞬間。
人生を点で分けて繋いでいく。

音楽には、未来からの時間が、いつだって含有する。
この言葉を思い出して、この意味について、この作品に触れながら、ふと、わかったりわからなかったり。

日常の中の日常と、日常の中の特別を知ってか知らずか暮らす人々。
ニュースで見てた、他国の戦争や、そこから逃れてきた難民、子供。
テレビって箱の中の、大惨劇から、徒歩でやってきた少年は、テレビを見ていた人々の日常に、見つからずに逃げる。

300シリングの差。
日本からやってきたお寿司をお腹いっぱい食べられる話題の店、そこで支払われる料金、290シリング。
電話は1分で、何シリング。ピストルは何シリングでリレーをされて、あの青年まで辿り着いたかわからんけれど。
卓球のボールは何シリングでしょう。クリスマスに、みんな、大人は何シリングかを用意して、子供たちは、0シリングで夢を見てたわけです。
あのガソリンスタンドの300シリング。
誰かが、貸せたかもしれないその金額で、3人の人がなくなって、1人の男が自殺した。
てことは!命は1人、7シリングあまり2。っていう奴がいたら、この映画の何を見てたんだこの野郎と言ってやりますが、ずっとニュースを見ていた人たちが突然ニュースになりまして、その映画ってスクリーンを見ていた僕らもまた、すぐに映される可能性のある自覚を持って、ニュースは速報であり、最新の過去であり、過去からの未来であり、そして、今の隣人を愛しましょう。
矢吹

矢吹