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71フラグメンツのadeamのレビュー・感想・評価

71フラグメンツ(1994年製作の映画)
2.5
群像劇風のストーリーがとある出来事で一つに収束する展開は90年代には決して珍しくなかったと思いますが、それでもハネケのそれは一味違っていました。
誰かの人生の一部を切り取って、それを事件として扱うニュース、それを物語として扱う映画。どちらも行動原理や目的が明らかなものとして届けられることが多いので、つい前後の因果関係を求めてしまいがちです。
しかし、人間が何かを起こす時の動機など不可抗力的なものや衝動的なものにあふれていて、そこにもっともらしい理由を付けたがるのは、意味が分からないものは怖く、意味が分かれば安心という受け手のエゴなのかもしれません。
そうしてコミュニケーションの力を過信して、分かった気になることの愚かさ、逆に振り回されることの愚かさを感じました。
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