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少林虎鶴拳のtakのレビュー・感想・評価

少林虎鶴拳(1978年製作の映画)
3.3
清朝末期、少林寺の焼き討ちから物語は始まる。主人公洪煕官(チェン・カンタイ)を始めとする少林寺の弟子達は焼き討ちから逃れたのだが、 師匠はロー・リエ演ずる白眉道人(「キル・ビル」に登場してたカンフーの師匠パイ・メイのモデル)に殺されてしまう。追っ手に仲間も殺された洪煕官は復讐を誓う。この主人公は少林寺英雄の一人で、虎形拳の使い手。主人公を逃がす為に犠牲になる弟子の一人を演じているのは、「キル・ビル」でパイ・メイを演じたゴードン・リュー。

紅船と呼ばれる旅回りの劇団に身を隠した彼ら は、復讐の機会を伺うのだった。その間に洪煕官は鶴形拳の達人である女性を妻(後に詠春拳の祖となる方詠春)とする。この二人の初夜の場面が面白い。股の力がとても強い妻に対して腕ずくで足を開かせようとしたり、あきらめて寝室の外で寝たり、とコミカルな場面が続く。方詠春を演ずるのはジャッキー・チェンの「ヤング・マスター」にも出演していたリリー・リー。なかなか気丈で美しい。 妻は仇を討つために、自分の鶴形拳を学ぶべきと諭すが、主人公は他派のカンフーは学べないと頑なに虎形拳を極めようとする。

やがて二人の間には息子が生まれる。母親の鶴形拳を仕込まれる彼は、「女のカンフーを習ってるヤツ」と友達にバカにされたりしている。男の子に「幽幻道士」のテンテン(懐)のような髪型させてるのが原因だろ!とツッコミいれたくなるのをグッと堪える私。

父親洪煕官は仇パイ・メイにいよいよ挑む。白眉道人は老人とはとても思えぬ血色のよさ(笑)。年老いても衰えぬその腕前で、洪煕官は逃げ帰る。銅人形を相手にした修行の末、再び白眉道人に挑むが逆に殺されてしまう。原題ではタイトルロールである主人公が姿を消した後は、息子洪文定の出番。このあたりからコミックカンフー的な軽い描写が目立ち始める。彼は父親の虎拳と母の鶴拳をミックスした技で仇討ちを果たすのだった。少林寺の師匠の仇討ちが、世代も変わって親の仇討ちになる大河ドラマ的な物語だ。

残酷描写は控えめだが、白眉道人の急所を身体の中で移動させる技は他の作品では見られない独特の面白さ。特に股間で相手の蹴りを受けとめてそのまま後ろに引きずる技は、「ありえん!」と笑いながらも本編で三度も見せつけられると素直に感動してしまう。

少林寺の英雄物語としても面白い本作。この映画の間接的続編が「続・少林虎鶴拳 邪教逆襲(洪文定三破白蓮教)」。こちらは、再びロー・リエが白眉道人を演じ、洪文定と戦うお話。観たい。
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