アンデルセンが綴るロマンチックな継子いじめ譚。これがロシアアニメーションの名手ミハイル・ツェハノフスキーにかかるとなんとも美しい絵物語に。
このエリサの愛されキャラの説得力たるや。王子とのロマンスより、仙女と11人の兄弟たちが不遇を救ってくれるというのがいいんですよね。
絵本のような紙芝居のような構図で、どのシーンをとっても絵になるし、それがアニメーションの動きを印象的なものにしてとても素敵。リミテッドアニメーションの省略や動かない部分はよく日本アニメでやる手法で、紙芝居と揶揄されることもありますが、これは狙ってやってるんでしょうね。動きのあるキャラクターはフルアニメーションで動かしてますし、動きのない部分も統一感のあるデフォルメで本当にアンデルセン童話を絵本で見ているかのようです。あるいは舞台を見てるという方が的を得るかもしれません。
イワン・アクセンチュクの“ゾーラシア”(シンデレラ)が好きな方は是非これも。
なおミュージカルアニメーションでもあるのですが、これが他のロシアアニメと違って妙にロシアオペラっぽくて笑っちゃうシーンがちらっとあり、そこも楽しい。