スラバヤ

裏切りの密輸船のスラバヤのレビュー・感想・評価

裏切りの密輸船(1958年製作の映画)
4.0
冒頭の警官刺殺の小気味良い編集から、居酒屋でのキス、ボートを差し押さえられて苦難するオーディ•マーフィーとやって来るエヴェレット•スローンを同時に捉えたショットや、ボートを動かすマーフィーとギータ•ホールにキスをするエディ•アルバートを同時に捉えたショットなど、観ててとてもすっきりとするごく簡潔な撮影、編集が素晴らしい、とまでは行かないまでも良い。黒黒とした深夜の海。ボート視点での別れ。ハバナでエディ•アルバートが突然警官を射殺する際の暴力性は凄まじいし、最後の船上での手下との銃撃戦、アルバートとの決着も映画的としか言いようがない瞬間で決まってしまう。ドン•シーゲルの映画では遅く動くものが速く動くものを最終的に上回るのだが、エディ•アルバートは速さを体現するようにマーフィーをハバナに誘い、活動家から一万ドルを受け取り、煩わしいものを瞬時に抹殺する(ロングで撮られる運転手の首を折る一連の鈍い運動)。マーフィーはMy boyと何度も語りかけられるようにアルバートによって行動を操られ、他より簡単だったよ、と言う発言や気味の悪いニヤつきに耐えなければならず、速さを司る銃を手にした罰を受けるかのように銃弾を腹に喰らう。しかして身体的な遅さを所持したマーフィーはパトリシア•オーウェンズの元に帰還できるのである。

追記:ロングショットで映される荷物の運び込み、船を見送るギータ•ホールなどの不明瞭な肖像の不穏さは指摘しておかなければならないだろう。
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