Lila

マージン・コールのLilaのレビュー・感想・評価

マージン・コール(2011年製作の映画)
3.6
YouTube Moviesで配信されてるうちにー!と前から見たかったケヴィン・スペイシー映画をキャッチアップしました。

この脚本と演出は、一歩間違えば超最下級のつまらない映画になりそうなところ、豪華ラインナップの演者の腕力によって完成させてるのが1番の凄さですね。終始会話劇です。舞台だと思って見た方がいい。夜中の会議シーンとか、本当にただの会議!あれを長尺2シーンも連続でやってのけるなんて、このメンツだったからとしか思えません。

危機に相反する、夜中の静けさの演出は結構リアルです。このレベルでなくても、トラブル対応したことあるサラリーマンなら誰もが思ったことある「朝にならないでくれー」朝日見え始めると現実が近づくので恐怖が増す、あの感覚です。

ケヴィン・スペイシーとジェレミー・アイアンズやポール・ペタニーとのやり取りは見もの。スタンリー・トゥッチ、サイモン・ベーカーも良くて、デミ・ムーアもハマり役、若手社員2人もフィット感が良い。キャスティングはお見事でした。

今回のケヴィンは目の使い方が特に秀逸。諭してる時の冷静さと鬼畜感。良心に目覚めた行動取るも34年積み上がってしまった表情を作れるのはケヴィンですね。あと妙に焼けてるのは役作りかな?役員っぽい焼け方してます(ゴルフ焼け、自宅のプールサイド焼け、ビーチ休暇焼け、オープンカー焼けなど)。

ジェレミー・アイアンズは他の作品も見てきましたが、やっぱり私の印象に残ってるのはライオンキングのスカーの声。あのヴィラン感がすっと脳裏にあるので、今回も黒い立髪のスカーが立っているように見える気味悪さでした。

ケヴィンとジェレミーはお互いの役も出来たと思いますが、寧ろ逆パターンがあり得そうでしたが、今回の配役で観れたのは良かったです。

全キャラクター割とあっさり描かれてますが、金融業界はドライなのでこの程度でいいと感じました。

とにかくエンドロールは斬新です。売れてた時代のケヴィン映画ラストシーンを彷彿とさせる裏切らなさ。

リーマンショックが題材で、一つの会社の小さな会議室とその会議室にいる人々の判断によって、世界をうねらせたと考えるとそれが1番の恐怖です。
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