タマル

ターミネーター2/特別編のタマルのレビュー・感想・評価

ターミネーター2/特別編(1993年製作の映画)
4.8
T2と『ハロウィン』の最新作との間に明らかに類似点が多かったので、確認も兼ねて鑑賞。
前見た時の記憶が曖昧で、沈んでいくシュワちゃんのサムズアップとともに画面がフェードアウトしていき、真っ黒な画面に「アイルビーバァーク」というナレーションが被さって、デデンデンデデン、デデンデンデデン、テテテーと画面下からクレジットが流れてくる、 という完璧なラストが頭では構築されていたのですが、全然違いました。 実際のラストで言った決めセリフは “I cannot self terminate. ” というシャレオツ系の奴でした。 なんなら“good-bye ”ともう戻ってこない宣言までしちゃってました。記憶って怖いわ。

キャメロンの作家性であるテクノロジー批判と強い女性が本作でも炸裂しています。個人的に発見だったのは、キャメロンはテクノロジーの、特に破壊的な側面とそこに張り付く営利主義に侵略と営利の帝国主義的な「男性の歴史」を見ており、そこに対置する存在として強い女性を主人公にしているのだということ。本作ではダイソンさんとの会話シーンではっきりとそういった趣旨の発言が出てきます。また、人間性という一つのテーマにおいて、人間を代替可能な機能にしてしまう人工的なシステムと、最も代替可能なT-800という「物」がジョンやサラとのローカルな付き合いによってかけがいのない存在へと変わって行く、この対極的なメタモルフォーゼを人間とロボットの対立する二つの存在で真逆に展開させるアイデアも面白かったです。このアイデア自体をも突き詰めると、ラスボスは精神病院のあいつらってことになるんでしょうね。
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