良作。傑作とまではいかない。あまり評価は高くないようだが、本筋の誘拐事件の真相と結末はミステリとしてなかなか出来ており、狂言誘拐とミスディレクションを経て解決に収斂していく様は、なるほどと膝を打った。マイケル・ホイの台詞がエンディングの伏線となっているところや、いかにもコメディ・リリーフな登場人物が重要な役目を担うなど、基礎も確りしている感じ。ヒロイン役のアニタ・ムイがミスコンに出場している美女の役だが、そのポジションだけに収めるならばマギー・チャンやブリジット・リンのほうが遥かに美女感はあると思うので、リッキー・ホイよりもアニタ・ムイのほうが三枚目の役回りなのだろう。美人の上司がマイケル・ホイ役の刑事に惚れている設定なのは良く考えれば背景が謎。これもエンディングへの長い伏線か。なお、邦題が勝手にMr.Booを名乗っているだけで連関は一切ないし、なんなら原題にあるチョコレート要素もほとんど物語上重要ではない。
