彦次郎

知りすぎた少女の彦次郎のレビュー・感想・評価

知りすぎた少女(1963年製作の映画)
3.3
叔母に会いに来たアメリカ人女性ノーラが連続殺人に巻き込まれるイタリアサスペンス。叔母が急死、強盗にあったうえに殺人を目撃しても死体消失で幻覚扱いされるという不幸ぶりですが、飛行機内でマリファナもらったと不用心さからの自業自得な面もなきにもあらずです。親切にも面倒をみてくれる叔母の友人である未亡人女性や恋仲に陥るスケベそうな医師(『燃えよドラゴン』のジョン・サクソン氏)や事件の謎を追う怪しすぎる記者などが現れますが、境遇に身を委ねる姿勢は旅先では危険であるという教示に思えなくもありません。
連続殺人事件がアルファベット順になっているというアガサ・クリスティー要素や誰も信じてくれない辺りはヒッチコック要素だったりとミステリとサスペンスの詰め合わせみたいになっていました。モノクロによる陰影ある画面は緊張感がありますが、ノーラが犯人に対してトラップを仕掛ける知略的なところのほうが面白かったです。
話そのものの信憑性を揺るがす描写があるのには賛否両論かもしれませんが視聴者に余韻を残す演出として良かったのではないでしょうか。
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