スガル

レールズ&タイズのスガルのレビュー・感想・評価

レールズ&タイズ(2007年製作の映画)
4.0
素晴らしかった。
ケビンベーコンって好きじゃないです。ラブアゲインのときみたいに殴られて欲しい俳優さんです。
でもこの映画では寡黙な感じで冒頭から好印象でした。
ラストに関しては想像通りではあったんだけど、前半でうるうるしてデイビーが家に戻ってくるシーンで泣きました。
ちゃんと愛が描かれている映画でこれこそが大事だと思います。これだけでいいんです。難病ものだからといって被害者意識というか可哀想な人ってところに焦点を当てている映画はやっぱりよくないと思います。

台詞もディラントーマスの詩のこと言っていたり、世の中灰色ばかりって言うところ印象に残りました。会話の中での気持ちの表現としての台詞なのがよかったです。ただ美しい台詞を並べただけではないのが。

病気や死についての思いを共感して観れたと思います。死を前にした人間の強さみたいなのがさりげなく描かれていたり。
最近観たヒラリースワンクの映画はこの映画と比べたらやっぱり違和感残る映画ではあるかな。

やり残したことだけがほんとの悲しみって伝わってきました。デイビーとの生活や夫婦が向き合うことによって、その悲しみが解消されていくところよかったです。

こういう映画が作られることがアメリカの希望だと感じます。映画って現代の世の中をあらわしてること多いと思うんですが、こういう映画が作られなくなったらアメリカは終わりだし人間の終わりが近いと思います。ストップロス観たときも思いました。


検索したら監督がクリントイーストウッドの娘でした。すごい才能あると思います。ボディランゲージというのか肩を撫でながら立ち去るシーンがいくつもあったり。監督は人の気持ちを伝えようって気持ちがあるんだと思います。

マーシャゲイハーデンの役には当然考えることあったんですけど、デイビーの立場も自分と置き換えて心にくるものありました。自分の親が面倒みてくれないってほんとに残酷だし。
何気にナース仲間のスーザンに心温まりました。料理作ってくれるのありがたい。

人が人を必要として相手を大切にして想う気持ちってシンプルなんだけど、これこそ映画で観たいテーマなんだと思います。





中盤でかかる曲が合ってないと思いました。


つけたし

最近観たヒラリースワンクのサヨナラの代わりにという映画とどこか違うのか少し思いつきました。
この映画のマーシャゲイハーデンは死を前にして、やり残したことにこだわっていました。哲学的と言えば言い過ぎになりますが、人として女性としてどうあるべきかどうありたかったかを語っていたと思います。
ヒラリースワンクの映画では病状の現実的な描写にも焦点当てていて、監督やヒラリースワンク自身ALSというのはこういう病気だと観る人に知ってほしい気持ちも強かった気がします。自分はそういうところよくないと思います。教材用ではないんだから。
ヒラリースワンクの役の人間性に深みがなかったと思います。観客はヒラリースワンクを見慣れているから感情移入できると錯覚するんだけど。哲学的である必要はないけど、あの役柄の生きる目的はなんだったのでしょうか?ジョシュデュアメルの愛が欲しいことはわかったんですが。
それ以外に生きる目的が描かれていたのか疑問です。

愛情を享受する姿には感動ポイントは存在しないんですね。愛情を与える姿には感動できます。
ヒラリースワンクがエミーロッサムと人間的な関係を築いていきましたが、どちらかというと受ける側だったと思います。
この映画のマーシャゲイハーデンはまさに愛情を与える存在でありました。

映画が目指す高さが大事なのかなと思います。
スガル

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