三隅炎雄

さすらいのデスペラードの三隅炎雄のレビュー・感想・評価

さすらいのデスペラード(1967年製作の映画)
4.1
『続・荒野の用心棒』の脚本家の監督デビュー作。はじめに「西部怪談集に出てくるような町」と登場人物が思わず例えるゴーストタウンがあって、その台詞が作品の異様なムードを決定づける。そこに盲人の爺さんが溜め込んだ大金目当ての悪党と、南軍の軍資金目当ての盗賊団(頭の名はアッシャーだ)が重なるように吸い寄せられ来て衝突し、暴力が始まる。
爺さんの金目当ての男前が主人公だが、勿論善人ではない。後半が主人公の復讐パートになっていて、これがねちねちいたぶる陰惨なスタイルだから痛快味とは程遠い。
復讐の旅の終りはゴーストタウン、最初の場所に戻ってくる。人が場所を選んだつもりでも、実は場所が呼び戻したとも言え、全体が終わりのない悪夢のようである。
改心していつか戻ってくると主人公は旅立つが、決意というにはおぼつかない足取りに見える。コルブッチ組とバルディ組の脚本家が揃って作った異形作。
三隅炎雄

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