ひでG

恍惚の人のひでGのレビュー・感想・評価

恍惚の人(1973年製作の映画)
3.8
有吉佐和子さんの原作がベストセラーになったのが1972年
父や母も40代で、まだ他人事だった老人性痴呆・認知症の問題

と言うか、認知症やアルツハイマーという言葉もない時代。

言葉さえもないのだから、対策も制度もない世の中。

義父の痴呆症を一人で背負っている高峰秀子が頼るのは、老人クラブと呼ばれる地域の寄合と、近所の若夫婦だけ。

介護保険もケアマネなんてない時代

そー考えると、時代は進んだのだろうか、
この小説や映画が、それまで家庭だけの問題だったことを、広く知らしめた、
あったことを一般化、社会化した功績は大きいと思う。

ただ、まだまだこの国では、「介護は家庭で」的な発想が残っているし、まだまだ途上にある気がする。

さて、いつものウキペディア情報ですが、

本作撮影時に主演の森繁久彌は60歳
今で言うと、役所広司や渡辺謙(謙さんは若年痴呆を演ましたね!)が、84歳を演じ、役に入り込み過ぎて、本当にボケてしまったと思われるくらい、成り切ったとのこと。

確かに、森繁さんの演技は凄い!
下の処理もできなくなってしまった老人役だが、森繁さんがやると、ちょっとコミカルで可愛い印象を与えるのは、さすがです。

さすが、と言う点では、高峰秀子。

一人で介護を請け負い(だって、みんなやってくれないから💢)、疲れ果てながらも、ラストのあの反応、演技は見事!でした!

そー考えると、これは、「東京物語」でもあるんだね。

特に乙羽信子か登場すると、それが顕著になってくる。さすがの3人目は、乙羽さん!

この問題(認知症)の結論は、悲劇しかないし、この映画のような終わり方しかないんだろう。

そして、この問題は、もう私たち、いや、
僕自身の問題なんだな、と思う。
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