かじドゥンドゥン

若者のすべてのかじドゥンドゥンのレビュー・感想・評価

若者のすべて(1960年製作の映画)
3.8
一家の大黒柱を失い、イタリア南部の田舎から都会ミラノへ移住した、母と5人の兄弟。ひとあし先にミラノへ来ていた長男ヴィンチェンツォは、母の反対を押し切って、当地の女と結婚してしまった。次男シモーネは、ボクシングで一攫千金を狙い、順調に勝ち進むも、娼婦ナディアに入れ込み、散財するようになり、身の破滅を招く。三男ロッコは、クリーニング屋で真面目に働いたのち、兵役を終え、堅実な人生を歩み、さらにはシモーネと別れて売春から足を洗ったナディアと恋仲になる。ところが、それを知ったシモーネが、ロッコの目の前でナディアを襲う。泣き崩れ、兄と殴り合ったロッコだが、それでも兄弟の縁は切れず、むしろシモーネの想いを汲んで、ナディアにはシモーネとの復縁を勧める。これで自暴自棄になったナディアは、野獣のようなシモーネに再び身を任せるも、やはり彼の元を去り、体を売って食いつなぐようになる。

兄シモーネが、厄介な筋の連中に作った多額の借金を返済すべく、ロッコは、性には合わないが才能はあるらしいボクシングを続け、上位まで勝ち進む。そんな弟の苦悩も知らず、ナディアに復縁を迫って拒絶されたシモーネは、ナディアを殺害。血にまみれた姿で、ロッコの祝勝会に現われる。恐れていた破滅がついに来たかと泣きわめきつつ、どうにか兄を匿おうとするロッコ。しかし、エンジニアとして大手企業で働き、結婚も控えている真面目な四男チーロが、家族の反対を押し切って、警察に通報。ロッコは逮捕される。

兄弟の絆と呪縛はコインの裏表。また、イタリア南北格差と差別意識も露骨に描かれている。