茜

オールモスト・ブルーの茜のレビュー・感想・評価

オールモスト・ブルー(2000年製作の映画)
2.9
映画としては面白くないけど映像としては面白い。
脚本しっかりしてたら点数爆上げだったと思います。

有能そうに見える女刑事と盲目で盗聴マニアの青年が、被害者の所持品を奪って身に付ける事で他人に変身して生きる猟奇殺人犯に挑むサスペンス。
この映画、一見出来る女っぽい雰囲気の刑事がイマイチ間抜けだったり、プロファイリングするする詐欺だったり、軽率に関係者(本作では被害者)とねんごろになったりする辺り、アンジーの「テイキング・ライブス」を思い出します。
あれも私はつまんないなと思いながら観てたけど、本作も受ける印象はかなり似てて、肝心の面白い部分が話に上手く生かされてないのが凄く勿体ない。

女刑事と盗聴マニアの盲目青年が手を組むなんて、作りようによっちゃとてもスリリングになると思うんですけど、そういうワクワク感も特に伝わって来ない…。
犯人も無秩序な異常性をビンビンに醸し出しておきながら、都合よく自ら出向いて来て不利な行動を取ったりするのが予定調和丸出しで肝心な所が盛り上がらない…。
とにかく話が淡々としてるのでマンネリして眠くなっちゃいました。

でも映像と音楽のセンスはユニークで良かったです。
監督は元々PVを撮ってた人らしく、色使いやBGMの使い方がスタイリッシュでやたらアート映画っぽい。
血でぐちゃぐちゃになった白いキーボードの汚らしさや、タイトルを象徴するように青みがかったシーンが散見されたり、しっとりしたバラードが流れていたかと思えば別のシーンでは急に爆音ハードロックが流れて来たり…思いがけないところでハッとする演出が目立つ。
タイトルにもなっているエルヴィス・コステロの「Almost blue」も随所に流れてて良い曲だな~と浸ってたんだけど、流石に多くの場面で使い過ぎなのではとも思う…(笑)

手放しで「面白いよ」とは言えないけど「お洒落だよ」とは言える気がするので、そういう映像が観たい人にはお薦めかも。
茜