TAK44マグナム

バーサーカーのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

バーサーカー(2004年製作の映画)
4.0
すげぇぞ、おい!
さっぱり分からない!!


かつて、ここまで凄まじく意味不明なバカホラーがあったであろうか?
いや、あったような気はしますが、ここまでのレベルでワケが分からないのも珍しい超怪作DEATH!

何か高尚そうだからカルトになる小難しい映画は数多いですけれど、これは純然たるバカさ加減でカルト中のカルトにまで昇華。
「悪魔のいけにえ」や「悪魔のいけにえ2」の影響下にあるのは間違いないのですが、話が進めば進むほど驚異的に支離滅裂になる地獄巡りが、ある意味カルトホラーの王者「悪魔のいけにえ」をも超えています。
超えすぎて、一周回って大好きな大馬鹿野郎ですよ!

それじゃ観てみますかと、DVDをセットすると表示されるアルバトロスのロゴ。
もう既に悪い予感しかしません!
しかし、この先へ進まなければ、おバカの栄光は掴めないのです!
いざ参らん!


(ここから先はレビューの特性上、色々とネタバレしちゃってますので、素のままの状態で本作を楽しみたい方は読まない方が良いかと思います。そんな奇特な方がいらっしゃれば、ですが・・・)









もうね、のっけからバカ!
「悪魔のいけにえ2」を丸パクリしたようなカーチェイスからの殺人鬼登場!
本作のそれは、勿論レザーフェイスではなくサージョン(外科医)ど呼ばれる黒コートの男で、丸ゴーグルに金属製の牙を装備したマスクを被り、武器は大型変形ナイフという異形の者!
で、何をするのかと思ったらドライバーの爺さんを殺害して車のパーツをブン盗っていきます。
うん、パーツ強盗ですね。
ちょっとセコイ!

さて、本作に登場する殺人鬼はサージョンだけではありません。
「悪魔のいけにえ」同様に狂いも狂った田舎の殺人一家が勢ぞろいです!
サージョンと共に先頭をきって殺人を行うのが顔色の悪い小人のプレート(何と、演じているのが「スターウォーズ」や「ハリーポッター」で有名なワーウィック・デイヴィス!「ウィロー」の主演俳優さんですね)、頭がデカい脳ミソのブレイン、指揮をとるお婆ちゃんのグラニー、そして謎の存在であるクリエイター(創造主)の5人で一家を形成、通りがかった余所者を騙して家に連れ込んでは殺害する日々をおくっているのでした。

今日の獲物は旅行中の能天気なパパとママ、そして二人の子供の四人家族。止せばいいのにグラニー婆ちゃんの誘いにのって夕食をご馳走になります。
出された夕食は得体の知れない肉。たぶん人肉でしょう。冒頭のドライバー爺さんのケツの肉かもしれません。
食ったら吐きそうなので、本作のヒロインとなる長女ティナは「私、菜食主義なの」と食べるのを頑なに拒否します。
正解!

場の空気を変えようとしたのか、ママさんがどう見ても怪しさしか発散させていないサージョンをカメラで撮ると、フラッシュに怒ったサージョンが暴れ出します。
キレるの早っ!
あっという間に家族を皆殺しにされるティナ。
弟なんて真っ二つです!子供だろうが高齢者だろうが容赦しないのが殺人一家の信条なのでしょう!
後で出てくるヨボヨボなバイカー軍団も爆弾で吹っ飛ばしたりと殺りたい放題!
因みに、デブやハゲも嫌いなのか、ドライブ中に出会えば速攻で全殺しです!
なんという無法地帯なのか!

残ったティナだけは「僕の奥さんにしたいよ〜」とブレインがお婆ちゃんにおねだりしたので、ペットとして飼われる事に。
何故か新聞紙で壁が覆われた部屋に閉じ込められます。
意外と凝ったディティールにも驚かされる本作ですが、この部屋はどうして新聞紙なのか。
安っぽいぞ!
それはさておき。
時折、ブレインがやって来てはデートのお誘いですよ。
鎖で縛られて、バイクツーリングに連れて行かれるティナ。
どっかの原っぱで駄弁る二人。
あれ?縛られてない?
だったら、早よ逃げろよ!
向こうの方に普通に人がいるし!
助けを求めろよ!
何で逃げないでブレインの悩みを聞いちゃっているんだよ!?
ブレインは言います。
「僕も本当は街で普通に暮らしたい。けれど出来ないんだ」
そう告白するブレインの脳裏には、フルチン全裸で街の大通りを駆け抜けてゆくという妄想が浮かぶのでした・・・って、フルチンでの駆けっこが君の普通なのか!
ちなみに、このブラブラするフルチン、モザイク無かったので見たくもないのにバッチリ見えちゃいましたよ(汗)!
・・・そんなフルチンでの熱演ご苦労さまなブレイン。
一家の中で一番マトモではあるものの、気が弱いのでお婆さんやサージョンたちには反抗できません。

ついにウェディングドレスを着させられ、「マッドマックス/怒りのデスロード」のトム・ハーディよろしく車のフロントに括り付けられたティナ。
全速力のウェディング・デスロードに心底嫌気がさして叫びまくります!
そんな事をされているうちに覚醒したティナは逆襲を開始!
ブレインの生々しい脳ミソを「柔かいのね〜♪」と引き裂きます!
こんなに分かりやすい弱点もあったものじゃありませんが、デビット・リンチやデビット・クローネンバーグもビックリなモノが脳ミソから出てくるので必見!
本当、意味わからないぞ!

一方、殺された仲間の仇を討つべく、推定年齢75歳のジイさんが、推定年齢68歳のバアさんのビッチな声援を受けて上半身ハダカに!
良い感じにデロデロになった老体に鞭打って、プレートとのバトル開始です!
プレートの武器はお皿!
だから名前がプレートなのね。
彼の趣味はお皿磨きで、いつもせっせと磨いております。
しかし、劇中、プレートが投げたお皿がヒットしたのは一度きり!
磨いてばかりいないで、まずはコントロールを付ける練習しろよ!
案の定、いくらお皿を投げてもジイさんには当たらず、逆に拾ったお皿でプレートをボコるジイさん!
伊達に不良バイカーやってないぜ!と言わんばかりの馬乗りからのボコり殺法に、哀れプレートはズタボロにされてしまいます!
弱っ!弱すぎる!
これではどちらが殺人鬼なのか分からんではないの!
ワーウィック・デイヴィス、何でこんなのに出たのだろうか?
何か掴まれてはならない尻尾でも掴まれてしまったのか・・・?

ヨボヨボのジイさんとバアさんは満足したのかラブラブで去っていったので、ティナは単独で家の深部に突入!
そこでついに一家の主人であるクリエイターと対峙します!
ご丁寧に壁にはクリエイターと書かれた文字が!
確かにこいつはクリエイターだわ(苦笑)!
首が無いけど!
その代わり、よく分からない電線がスーパーマッチョなボディに繋がってるじゃありませんか。
そして股間にはダイナマイトって書いてある。
チンコがダイナマイト?
・・・ふう、もう何が現れても驚かないと決めていましたが、こいつには脱帽ですよ!
超センスすぎて、ついてゆけません!

どこから声を出しているのか、「暴力こそ人間の本質なのだ!」などと、ボディビルのポージングをしながら演説をかますクリエイターは、さながら「マッドマックス2」のヒューマンガス様のよう!
クリエイターもまた、世紀末に降り立ったロックンロールのアヤトラなのか?!
この映画は2004年製作だけど。

で、ティナはそんな御託はどうでもよいとばかりに、まずはチューブを首の後ろにプラグインして血液補充をしていたグラニー婆ちゃんを狙い撃ち。
ニヤニヤしながらチューブを切断するティナ。
するとどうでしょう、いとも簡単に、グラニー婆ちゃん溶けちゃった!
オェェェ!「吐きだめの悪魔」か!

怒ったクリエイターが自分の腹を裂くと、そこから本体?が飛び出てティナに襲いかかります!
しかし赤ん坊のように非力な本体なので(何で飛び出てきた?)、振りほどかれて吹っ飛びます。
その勢いで、ティナはそこら中を破壊!
こりゃたまらん!と、クリエイター卒倒!
・・・え?
大ボス倒しちゃった??

だがしかし!そこへ一家の最大戦力であるサージョンが駆けつけ、一転してティナがピンチに!
ここからマジで気がおかしくなる謎展開となり、定番の電気ビリビリによってサージョンも卒倒!
すると、そこへ現れたのが幻想のパパさん達。
「罪を憎んで人を憎まずだよ〜」などと諭そうとする幻想をかき消すティナ。
ウサギなんて要らんのじゃ〜!
ブッ殺す!!
ブレインからバイクの乗り方を雑に教わっていたティナは、サージョンをブロロロロローーッ!と轢き殺しつつ脱出、街へと向かうのでした。


う〜ん、何なのでしょうか!?
ガワは、いくらでもある田舎ホラーなのですが、中身のクレイジーぶりが突き抜けきっています!
一体どういう頭から本作が作り上げられたのか?
こんなに全てのネジが外れかかっている映画ってのも、そうそう出会えませんよ。
監督・脚本のガブリエル・バータロスって何処の誰だか存じませんが、これほどの歪んだセンスと圧倒的に狂ったイマジネーション、そして何だかんだ言いつつ見せきってしまうパワフルな強引さは只者ではないと思います。
でも、フィルモグラフィからすると他には撮っていないみたいですね。
Z級映画のファンからすると大変な損失でしょう。
こういう人こそ、ラリパッパなのをどんどん撮れば、世の中(主にレンタル屋の棚)が少しでも明るくなるんじゃないかと思うんですけれど。


最後の最後、エンドロールも最高にヒドイ。
BGMもなく、ただひたすらにティナの絶叫が聞こえ続けるのです!
イヤーッ!とか、ギャァァァッ!とか。
映画館だと、エンドロールが始まった途端に席を立つ人がいるじゃないですか。
普段なら、「エンドロールの最後まで観ていくのがエチケット」と残るところですけれど、もし本作を映画館で観ていたなら、さっさと席を立って、出口へと真っしぐらでしょう!
でないと、心が病んでしまいそうです(汗)

兎にも角にも、これほどの怪作には滅多にお目にかかれません。
フォロワーさんのレビューで変態映画だとは分かっていましたが、まさかこれほどの威力だとは!
想像の75度斜め上をいっていましたよ。
怖いというよりキモい。
もし観られるのであれば、生首にチンコにゲロが揃ったオールスター大感謝祭をゲップをしながら観る感覚で挑みましょう!


しかし、これ、トビー・フーパーは観ていないのかな。
もし観たら、どう思ったであろうか・・・
喜んだか、それとも自分の作品がキチガイを増やしてしまったと嘆いたか?

はーい、マグナムは「嘆いた」に一票で〜す♪(苦笑)


セルDVDにて