櫨山

劇場版 アイカツスターズ!の櫨山のレビュー・感想・評価

5.0
アイカツスターズ!の作品としての方向が見え、アイカツ!との差違が現れた一本。
アイカツ!という作品が3年半続いた中で最も避けてきた「喧嘩」を丹念に描き、虹野ゆめと桜庭ローラの関係性の物語の一つの着地点となった。これはTVシリーズでやらなきゃならない話のような気もするが、面白かったので気にしない。個人的にオケオケオッケーだ。

アイカツ!の問題点としてキャラクター一人一人の個性が強すぎた結果それぞれの関係性に粗が生じ、あかりジェネレーションに入ってそれが隠しきれなくなったというものがあったが、アイカツスターズ!は複数形となったタイトルでも現れている通り、より群像劇として魅せることを意識している。
そんなアイカツスターズ!が関係性の物語を描く点で避けて通れない「喧嘩」を一つのクライマックスとして劇場版に持ってきたのは特別な意識があったに違いない。
ラブライブ! サンシャイン!!やプリパラ、アイドルマスター シンデレラガールズなど「第二世代」と呼べるアイドルアニメが増えた中、しっかりと前作の問題を認識し意識的に「先代越え」を成そうとしているアイカツスターズ!の向かう先への期待も感じられ、これからのTVシリーズが俄然楽しみになってきた。
2クール目もまだ中盤の中の劇場版で、脚本ローテーションに大きく影響を及ぼしていただけに不安も大きかったが、近年のアイドルアニメ映画の中ではとても挑戦の意志を持ち合わせた作品に仕上がっている。TVシリーズを見ている人はもちろん、アイカツスターズ!を見ていないアイカツ!のファンにもオススメの一作。
櫨山

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