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ベン・ハーのhasseのレビュー・感想・評価

ベン・ハー(1959年製作の映画)
3.9
演出4
演技4
脚本4
撮影5
音楽3
技術4
好み4
インスピレーション3

歴代最多タイのオスカー11部門受賞を誇る、ウィリアム・ワイラー監督の言わずと知れた名作史劇。ユダヤ人の王子ジュダ・ベン・ハーの受難を、イエスの誕生から処刑、復活の裏物語と絡めて描く。

なんと言っても白眉は4頭立て馬戦車(クアドリガ)による戦車競走のシーン。本作ほど大規模な作品になると全シーンを監督が采配しているというわけではなく、このシーンは、ワイラーは総監督という立場で関わり、実質的には第二班監督が演出を手掛けたらしい。
これは今後CG技術がいくら発展しようと、後世まで受け継がれるべき映画史に残るスペクタクル的名シーンだ。馬が地を駆ける音と映像のド迫力。全編通して音楽を多用しているが、このシーンだけは一切音楽がなく、馬の蹄が地を揺るがす音が画面を支配している。四頭の馬の筋肉質な全身が、砂ぼこりをまきあげながら失踪する姿もやはり、画面を支配している。
メッセラの(セコい)ギリシャ流車輪スパイクは、ロジャー・コーマン『デス・レース』に継承された(のか?)

旧友メッセラに対するハーの復讐心は、彼を変えてしまったローマ帝国そのものへのそれに変貌するが、イエスの生きざまから「敵をも愛する、許す」ことを学び、家族と抱擁を交わすラストはちょっとクサいんだけどよくできている。復讐果たして終わり、より余程いい。

妹役に『夜の人々』のキャシー・オドネル、ローマ側のちょい役でデビューしたてのジュリアーノ・ジェンマがいる。
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