紅梅シュプレヒコール

ベン・ハーの紅梅シュプレヒコールのレビュー・感想・評価

ベン・ハー(1959年製作の映画)
4.2
ユダヤの豪族ジュダ・ベン・ハーは、事故でローマ総督に怪我をさせてしまう。ローマ司令官メッサラの手によって無実の罪でガレー船の漕ぎ手に身を堕とした彼は、静かに復讐の機会を狙うのだった。

3時間半にも及ぶ長尺なので、観るのにかなりの体力を消費しますが、特殊撮影や見事なスタントを駆使して描かれる英雄譚は観る者を夢中にさせます

主人公を苦難の道へと堕とした仇敵が、かつては親友だったという設定もドラマチックに作品を盛り上げています

奴隷という絶望的な状況の中で、心折れることなく生き抜き、道中で様々な縁と出逢いながら仇敵へと近づいていくストーリーラインはシンプルながら見ていて楽しい

最後の盛り上がりとして用意されている手に汗握る大競馬の場面は、今後も色褪せることなく鑑賞者を釘付けにすることでしょう

そして、復讐の達成を終着点とせずに、最後には救いのある終幕になっているのも気持ちが良かったです

イエス・キリストの誕生という劇中で展開するもう一本の軸によって、本作をただの復讐物語にせず、ユダヤ人であるベン・ハーの信仰の物語としても観ることができます

様々な経験をする難しい役でありながら、感情の機微を表情で演じ切るチャールトン・ヘストンの見事な演技力も必見

長尺で敬遠されがちかと思いますが、是非とも観ていただきたい傑作です