ほーりー

殺人者はライフルを持っている!のほーりーのレビュー・感想・評価

4.1
去る10月1日は50人以上の犠牲者を出したラスベガスの銃乱射事件から丁度1年にあたる。

ホテル上層から地上目掛けて発砲するなんて、こちらから見えないぐらい遠くの場所から命を狙われることって本当に恐ろしいと思う。

この手の事件では1966年に発生したテキサスタワー銃乱射事件というのが先駆けだったというが 、本作「殺人者はライフルを持っている!」はその犯人をモデルにしているという。

監督はこれがデビュー作となったピーター・ボグダノヴィッチ。ちなみに本作では役者としてもちょっと重要な役で出てます。

出演は公開当時80歳だった怪奇スターのボリス・カーロフで、この映画の翌年2月に没しているのでまさに最晩年の映画である。

一言でいうならば、無差別ライフル魔 × 伝説の怪奇映画スター という不思議なコラボ作品。

低予算でよくこれだけ怖い映画を作れたなぁと思う。

殺人の衝動にかられたごく普通の若者が家族を惨殺した後、沢山のライフルと弾丸を持って町へくりだす。

一方、最新作の公開を目前にして引退を決めた往年の怪奇スター(ボリス・カーロフ)。

既に彼は恐怖の対象がドラキュラやフランケンシュタインといったモンスターから等身大の人間に変わったことを感じている。

もう誰もわしのことなんか怖がってくれんと言うものの、周りの説得でドライブイン・シアターでのプレミア上映会に登壇することだけは渋々承諾する。

さて乱射魔はというと、ハイウェイを走る車に向かって次々と狙撃した後、今度はドライブイン・シアターに逃げ込み、プレミア上映会に来た観客を襲撃する。

そこへ何も知らずに会場へやって来た怪奇スター。次々と銃弾に倒れる観客や係員を目の当たりにし、意を決して犯人に立ち向かう!!

まさにいにしえの恐怖と現代の恐怖との対峙!

80歳の老躯をひっさげて銃を乱射する犯人に歩み寄るボリス・カーロフの姿がカッコいい。

そして初めて犯人の顔を見たカーロフの一言が重い。

エンディングでドライブイン・シアターでたった1台だけ残っている車のシーンが何とも薄気味悪く感じる。

■映画 DATA==========================
監督:ピーター・ボグダノヴィッチ
脚本:ピーター・ボグダノヴィッチ
製作:ピーター・ボグダノヴィッチ
音楽:チャールズ・グリーン/ブライアン・ストーン
撮影:ラズロ・コヴァックス
公開:1968年8月15日(米)/未公開(日)
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