堊

ロックンロール・フランケンの堊のレビュー・感想・評価

3.9
濱口竜介の『passion』で「心と身体と精神がバラバラなの…」というセリフを聞いて、ゲイのペニスを移植されプレスリーのモノマネを強要させられる本作の主人公が「ウーウー」言ってる姿が思い浮かんだ。ロックンロールフランケンは妙に愛おしく、こいつだけでなく出てくる俳優の演技すべてがユルく、おそらく2つしかないのであろうレンズを用いて撮られていく映像は単調極まりないが、下手なプレスリーのモノマネをするしかないゲイのペニスと会話するフランケンに感情移入させようとする妙に力の入った脚本がどこまでも多幸感をもたらす。コンドームをネズミに入れる性癖とリベラーチェのペニスのシナリオが混在しているのは意味不明だったが、酔った勢いでスタートしたであろう作品が完成していて、笑いながら見れてしまうのは感動する。本当につまらない映画だが、これを観続けることで人生のすべての労苦から解放されるとしたら……それも悪くない。
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