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影なき狙撃者のMrsフロイのレビュー・感想・評価

影なき狙撃者(1962年製作の映画)
4.0
リメイク版「クライシス・オブ・アメリカ」を観て永らく観たいと思っていた今作、ようやく巡り合わせる事が出来た。
デンゼル・ワシントンの熱演とどこかSFチックな印象が強かったリメイク版だが、此方は全く違った話に見えた。
監督がジョナサン・デミからジョン・フランケンハイマーという事が大きいと思うが、それ以上に背景としての湾岸戦争が、こちらは朝鮮戦争と中ソの洗脳作戦。

今観ると現在の政治情勢に直結する要素が多い事に驚く。日本に関連する事柄が頻出する。日本の戦争犯罪者として岸信介(安倍晋三総理の祖父)の言及がある。元々朝鮮戦争は、日本の朝鮮半島支配の第二次大戦の敗戦による終了から連なる戦争。

中ソに捕らわれた米軍兵士が洗脳を受けるシーンは秀逸。園芸クラブの上品なご婦人方の集まりに見えて、実はマインドコントロールの場であり、其処で兵士達は架空の戦闘行為を刷り込まれる。そして戦争の英雄として祖国に凱旋を飾る。

原題は「 The Manchurian Candidate」で満州の候補者、操られる者、傀儡の意味で使われるとのこと。これは満州が日本の傀儡国家だったという事に関係あるのだろうか。

後半の米国大統領候補者の演説会場のサスペンスとそこに続くマインドコントロールとの闘いは、アナログチックな黒電話機やトランプ占いが充分に威力を発揮する。

朝鮮戦争は、停戦であって未だに終戦では無いことに気付く今朝の新聞…
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