【インナー・カーン】
IFFJ2016にて。King of Bollywood主演、本年度IFFJ最大の目玉で超大作…みたいな予測してたらゼンゼン違った(笑)。これ、小粒な偏愛映画ですね。
ファンがスターを偏愛する物語だけど、その前に映画自体に偏愛観客…シャーキチしか受け入れないような網が張られている気がする。その網を超えたいとはまるで思わないけれど。
シャールク・カーンが、セルフパロディのような大スター、アーリヤンと、彼が人生のすべてである大ファン、ゴウラヴの二役を、CGで微妙に姿を変えて演じ、画的にはよく出来ていますね。違っているのに等しく感じる、のが狙いならお見事。ゴウラヴが時々、織田裕二にしか見えなかったけど。
ファンがある事件でストーカーに転じる定番ストーリー。サイトの紹介文に「二人のどちらに感情移入するかで、作品の見方が大きく変わる」とあるが、どちらにも感情移入できなかった私。困った。どちらも自業自得に見えるんですよね。
展開もありえねーの連続でノレない。スターはあまりに脇が甘く、ファンは007並みに活躍しちゃう。なんとストーキングの海外遠征！
スケールでけえ…と期待させるが、やるこた凄まじくセコイ。ただのセクハラとかね。これなら国内で充分、ダメージ与えられるんじゃないの？日本の『アマルフィ』思い出しちゃったよ(爆笑)。そもそも活動資金どうしたのだろ？
何だか、シャールクの頭の中を覗いている感じでした。彼が本物のスターとして溜めてしまった不安や不満や欲望やらが、この二人の関係にシンボライズされているように見えたのです。そこから分析してみると面白そうですが、シャーキチではない私は、やる気が起きない。
せめて、映画の一部でいいから掻っ攫う強力美女が出ればよかったのに。で、彼女を二人で奪い合うような展開になれば、今よりずっと求心力と、立体感が出たと思います。
<2016.10.22記>
