爆裂BOX

ワルプルギスの夜/ウルフVSヴァンパイアの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.3
卒論の題材に11世紀のハンガリーの女吸血鬼と言われた女伯爵ワンディーサの伝説を選んだ女子学生エルヴァイラとジェネビーは彼女が埋葬された墓を探すが道に迷い…というストーリー。
スペインのスター怪奇俳優ポール・ナッシーの代表作である狼男ヴァルデマル・ダニンスキー伯爵を主人公にしたシリーズの三作目です。
道に迷った二人はダニンスキーと名乗る男と出会い、彼の家に泊めてもらう事に。翌日、二人とダンスキーはワンディーサの墓を掘り返すが、胸に刺さった銀の十字架を引き抜く際にジェネビーが手を切ってしまい、滴った血でワンディーサが復活してしまう。満月の夜に狼男に変身したダニんすきーとの戦いが始まる、という内容です。
冒頭は恐らく前作からの続きと思われますが、検視官がダニンスキーの遺体から銀の弾丸を摘出したために狼男となって復活し、検視官や刑事、通行人の女性を襲うシーンから始まります。ストーリーは女吸血鬼の伝説を調べる女学生二人がダニンスキーと出会って一緒に墓を掘り返した結果、女吸血鬼が復活し、ジェネビーは吸血鬼にされて二人でエルヴァイラを付け狙っていきます。
全編に漂う怪奇ムードが良いですね。女吸血鬼ワンディーサが現れるシーンも亡霊の様な雰囲気がありますし、妖艶さもあります。夜にエルヴァイラの前に二人で現れて迫ってくるシーンもどこか幻想的な雰囲気が漂いますね。
物語としてはヒロインエルヴァイラと自らにかけられた狼男の呪いに苦悩するダニンスキーの恋愛に重点置かれてる感じですね。出会ってそう時間たってないのにヒロイン恋に落ちちゃうけど、ナッシーだから仕方ないか(笑)
狼男に変身するシーンは昔ながらの特殊撮影使ってますが、毛むくじゃらの顔で目をひん剥いて涎ダラダラたらす姿は今見ても割と迫力ありますね。窓ガラスぶち破って外に出て人襲いますが、最初の襲撃シーン暗すぎて何起きてるのかまるで分らなかった。ここに限らず映像が暗すぎるシーンあるのが残念だったな。エルヴァイラ襲おうとしてダニンスキーに襲われるピエールは爪でバシバシやられても向って行って意外と根性ありましたね。
ゴア描写と呼べるものはありませんが、ダニンスキーが吸血鬼の餌食になった姉の心臓に杭打ち込んで首切断するシーンはこの時代としては結構ショッキングなシーンでしょうね。
終盤警官のエルヴァイラのイケメン彼氏が登場して修羅場るかと思ったら結構アッサリ彼氏の言い分に同調してダニンスキーもエルヴァイラに去る様にいうんですよね。その後アッサリ吸血鬼に捕まるけど。
最後にいよいよ狼男と吸血鬼の対決が始まりますが、呆気なく決着ついちゃったので拍子抜け。でも、女吸血鬼がドロドロと溶け崩れていく所をオーバーラップで表現するシーンや、ウジ虫が湧いたミイラは気色悪くて良かったですね。
ラストも切なさを感じさせるもので良かったですね。最後の人間に戻った時の穏やかな表情がエルヴァイラの言うように安らかな眠りがようやく訪れたんだなと感じさせました。まあ、シリーズは続くからすぐ眠り破られるんだけど(笑)
最初の方に出てきた「エルゾンビ」みたいな修道僧の格好したゾンビは何だったんだろ?ダニンスキーにアッサリ撃退されてそのまま登場しなかったけど。
タルイシーンもありますが、全編に漂うハマーフィルムを思わせる怪奇ムードが良い作品でした。