諜報員マイケル・ケインとある作戦のためイギリスに潜入したソ連の工作員ピアース・プロスナンの対決というハリー・パーマーVS007という構図だけでも面白いのに、東西冷戦時代のスパイ活動をリアルに描いた原作と脚本担当のフレデリック・フォーサイズ(『ジャッカルの日』の原作者)の筆も冴えていて最後まで緊張感が持続して楽しめた。物語の半分が諜報活動や潜入ばかりなので画としては地味かもしれないけれど、『国際諜報局』や『寒い国から帰ったスパイ』が好きな人ならきっとはまるはず。
マイケル・ケイン演じるプレストンは有能な男だが、そりの合わない上司への対応といい時折はなつシニカルなブラックジョークといいやはりシニカルなキャラクター。特に上司に対して無能扱いして激怒させるくだりは社会人がやってはいけない対応を見せられているようで憧れるけれどちょっと怖い。
原爆をアメリカ軍がいる基地で爆破させNATOを混乱に陥れようとする工作員とイギリス諜報員たちの見えない戦いの結末がシビアすぎて唖然、それでもシニカルな姿勢を崩さない主人公がかっこいい。
『ダーティハリー』で知られるラロ・シフリンのスコアも映画を大いに盛り上げる。
『フレンチ・コネクション』ばりに無茶をするカーアクションも見所、公園や駅の構内であんな無茶な運転すると見てるこっちがハラハラする。