Arlecchino

ブルース・ウィリス/イン・カントリーのArlecchinoのレビュー・感想・評価

4.3
イラク戦後もよく取りざたされている帰還兵士のPTSD問題。
殺したベトコンが持っていた子供の写真。子供を含めた家族全員を皆殺し。仲間が死に自分だけが生き残った負い目。夜の森に音もなく現れるベトコン。アメリカ軍唯一の敗戦。戦いに正義はあったのか。友の死は無駄ではなかったのか。

そんな心の傷を持つ中年の群像を、主人公の若い女子高生サムを軸に、わりあいさらりと描いています。

生まれる前に父をベトナム戦争で亡くしているサムは叔父のエメット(ベトナム退役兵士)と同居しています。サムは偶然父親の写真を発見して父親の生前に興味を持ち、エメットやその仲間のベトナム退役兵士にベトナムのことを訪ねて回ります。しかし彼らの口は重く、サムをはぐらかすばかり。とても言葉になどできないし、直視することも、思い出すことすら避けたいエメット。

サムはとても健康的でよい子なのでエメットの仲間から愛されています。愛すべきサムがこの夏、亡き父を巡るいくつかの体験を通し少し成長する、という話が軸になっています。笑えるシーンもあり深刻にならない爽やかな話が基調ですが、内容には深いものがありました。
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